ホワイトベアは微笑む

 今ごろの季節は夏と言っていいのか。梅雨に入ったと思ったら、大した雨も降らないうちに暑くなっている。いつだって梅雨明けはしれっとしている。それなら、ここ数日の暑さはすでに夏のそれだ。冷房を修理する前に夏が来てしまった。でも、もう構わない。汗だくの夏は怠惰で気持ちが良い。

 子供の頃は大好きだったが、大人になると食べなくなるものがある。僕にとってはスイカがそれだ。スイカを食べるとカブトムシになったような気分になる。人によってはキュウリがそれだと言うのかもしれない。でも僕はキュウリはバッタの味だと思うし、そう思ってもキュウリは好きで食べる。

 先日、茶の間にスイカが切ってあったので、本当に久しぶりに食べた。子供の頃は神経質に種を吐き出していたが、面倒なので種ごとムシャムシャ食べた。なるほど、種を吐き出すのが面倒で食べなくなっていたんだな。その手間を省けばスイカも悪くはない。とは言え、無くても困らないけれど。

 昨年、保健指導に従って節制したせいで、食に対する罪悪感をそこここに感じでしまう。確実に食べる量が減ったし、以前なら屁でもなかった量で腹一杯になる。そんなセルフ洗脳ですっかり食べなくなったのがアイスだ。外食や飲んだ帰りには、必ずコンビニに寄ってアイスを買っていたものだ。

 すごく好きな棒アイスがあって、それを探していたというのもある。それは「白くまトロピカル」である。普通の白くまではなく、トロピカルフルーツを使ったコッチが大好きだった。あまり見かけないので、見つけたら絶対に買わなければいけない。そんなアイス活動も、しばらく休止していた。

 保健指導の担当者からかけられた呪いが残っていて、アイスを買う気持ちにならずにいた。でも、暑さと白くまトロピカルへの愛が、その呪いを解いてしまったようだ。今日からコンビニに寄るたびに白くま探索だ。見つけたら複数買いしてファンを増やそう。そうすれば、買いやすくなるはずだ。

夏の街歩きでは日陰を選んで歩くので、どうしても挙動が怪しい人になる。