2020-01-01から1年間の記事一覧

消極的なポジティビティ

積極的に動くこと、縦横無尽に絶え間なく動き続けることが正義であり、躍動する人間の姿は賞賛の対象でもあった。そんな美徳を否定するとまでは言わないが、今だけは待機を強いられている。世界規模での待機状態だ。こんな状況の中で、世界情勢がどうなって…

大きな声でさようなら

誰かと明確に決別することは、死別以外では滅多にないものだ。もう2度と会いたくないと思っていた人間だとしても、生きていれば再会する可能性はある。再会したときに許せていなければ、また長いお別れをするだけのことだ。いつか許せて、そしてタイミング…

見えない災禍を忘れるひととき

世間的には冬休みの時期だが、僕は特に休みということではなく、ただ仕事が入っていないので休んでいる。少し前に入った仕事を断ってしまったのが気がかりだが、締め切りのある仕事を納期内に納められそうもなかったので仕方ない。そう思いつつ、逃した魚の…

地元なんてない

いま自分が住んでいるところは、生まれてから住み暮らしている市内の中で何度か引越しているので、ちゃんとした地元感がない。小さい頃は近所が近くて、同級生や同年代の子供も多かったので、家族間で行き来するような関係性の濃さがあった。でも、いまの所…

破滅型ドランカーの末路

酒場の常連の中で、ほぼ酔った状態でしか会ったことがない人間が何人かいる。みんな酔いたくて飲んでいるとは言え、初手から酔っているわけではない。誰もが段階を経て酔いを進めるわけで、シラフ状態から徐々に酔いの度合いを深めていくはずだ。でも、シラ…

博才もたざる者

昨日は酒場のバイト女子が誕生日ということで、時節柄おおっぴらとは言えないけれど、小規模の常連客でささやかにお祝いさせてもらった。数少ないイベントとして「ワニワニパニック(1回百円)」で彼女と勝負して、勝ったらビールを1杯飲めるというのがあ…

聖なるひとりぼっち

人が大騒ぎするような記念日は、寂しさも強調される。自虐のように、その日に予定がない自分を笑う人もいる。また、寂しいと思っていないのに、余計なお世話で慰めてくるようなのもいる。記念日に呪われている。心が日付けに囚われている。その日を過ぎれば…

風に舞う薄弱な愛たち

クリスマスイブだからって何か特別な感慨が湧くわけでもなく、スペシャルな予定も入っていない。ただの年末の木曜日だ。フリーランスの特権なので、平日の午前中から髪を切りに行った。なんとなく伸ばし放題にしていたのだが、鬱陶しさに負けて切った。クリ…

あのとき君はどこにいた

学生時代の答え合わせではないけれど、当時あまり話していなかった人と当時のことを話すのは楽しい発見がある。まず大前提として、お互いに本当のことを話すというベースが必要だが、年齢を重ねると無駄な嘘はあまり言わない。いや、嘘というより無駄な見栄…

振り返っても誰もいない道

独自路線を貫く人がいる。誰からも理解されないが、それでも自分はそこに価値があると信じ続ける頑固者だ。そういう態度は尊いと思うこともあるが、本当に誰も見ていなかったら独自すぎて知ることもない。そこに誰かが媒介として世間と繋ぐことになる。その…

冬ハンドメイドギフト

昔から手作りのプレゼントは敬遠される。後に残る上に、センスが問われるものは難易度が高い。最近では手紙でさえ送るのが怖い。ここ数年は年賀状を出すようにしているが、その図案を自分でデザインしているので反響は聞かないことにしている。自己満足なの…

去る人、来る人

プロ野球は、全日程が終わっても、オフの間の人事にも楽しみがある。ただ、その人事は必ずしも喜ばしいものばかりじゃない。自分の推しチームで活躍した選手が、来年は敵チームに移籍することもある。そして今年、長いこと振るわなかった選手が、やっとブレ…

パーソナリティ・クライシス

たまに目に入る文言で「自分らしく生きる」的なことを正義として人に押し付ける記述を見かける。一見聞こえがいいように思えるが、その人に言われなくても誰だって自分らしく生きていると思う。むしろ、そんな赤の他人に誘導された自分らしさなんて、ちっと…

準備不足でうろたえる

こちらが思ってもいないところで人に声をかけられると、必要以上に慌ててしまうことがある。以前、高校の同級生の飲み会に参加していたら、同じ会場でひとつ上の先輩が同窓会をやっていた。しかも、顔なじみのある顔ぶれだったので話しかけられたのだが、そ…

痛い言葉を残せない

時代とともに、直接会うことから手紙へ、手紙から電話へ、電話からメールへとコミュニケーションの方法が変わってきている。もちろん今でも直接人と会うし、数少ない機会だけれど手紙を出すこともある。あ、年賀状の準備をしなきゃ。ま、それは置いて、手法…

プラスチックの丸い板

最近は音楽をダウンロードして聴くのが主流だと思う。物量を増やさずにデータだけを拡張させていくのは手軽で合理的だ。そこに異論を挟む余地はない。ただ、音楽を聴く楽しみにはCDを買いに行くこと、店で探しながら目移りすること、視聴で初見のアーティ…

論点の軸をソラスメント

フリーランスの朝は遅い。急ぎの仕事がないときは、寝床でダラダラと午前中のワイドショーを観てしまう。そんなボンヤリした意識の中で、しょうもないトピックスに心の中(時には独り言として)でツッコんでしまう。そのツッコミが逆に自分を刺してしまい、…

美しき再挑戦

かつてのヒーローが再び表舞台に立つチャレンジというのは、賛否両論が出るものらしい。年齢的な限界で引退したスポーツ選手が、引退後かなりの間をおいてその競技に再挑戦するというのは凄いことだ。それだけで賞賛に値する。売名行為の茶番かどうかなんて…

酔いどれ、闇夜を往く

昨日は久しぶりにハシゴ酒をしてしまった。この時期に遅くまで飲んでいるのはケシカランことだとは思いつつ、仕事が片付いた日くらいは飲みたい誘惑に負ける。次の店に行くときにマスクを着けるので、そこで現実に戻ることができる。最終バスを逃してしまっ…

シンクロ率の高さに赤面

昨日は、ランチ営業している行きつけの居酒屋に顔を出した。もちろん昼飯を食べるためだ。ただ、いつもそこでは飲酒するので、平日の昼間だというのにビールを頼んでしまった。通常では国産の生ビールなのだが、昨日はクラフトビールを出していた。美味かっ…

超軽量化が進んだ世界の僕

眠っている時に見る夢が何かを示唆しているとは思いたくないし、あまりそれで気に病むことはない。ただ、現実を反映している部分はあるので、そんなことを睡眠中まで見せるなよ、とは思う。でも、僕の脳は僕の経験で組み上げられた回路なので、現実に即した…

メガネが顔の一部になる

30歳以降の僕は、外出時はメガネをかけている。でも、最近はマスクを着用しているので、メガネが曇るのを避けるために外すことも多くなった。メガネを外すとハッキリ見えない。不便だ。もうメガネなしで街中を出歩くのは怖い。でも、メガネには慣れない。…

有名店に行ってみよう

月に一度、世田谷の等々力に行って仕事を手伝っている。そこに行くまで、最寄駅から二子玉川駅までぶっ通しで電車に乗り続け、そこから大井町線に乗り換えるという行き方を長いことしてきた。でも、等々力周辺に好みの飲食店がないので、行き方を変えて昼ご…

和の輪のなかで

年齢とともに敏感になるというか、知っておいた方が後輩から「一目置かれそう」だと感じるのが古い物に対する知識であり、それを良いと思える感覚だ。器とか小物とか、そういったモノへの造詣を語ることで自分が「ニッポンの人」であると誇りたくなる。極小…

ペンディングの魔術師

僕はせっかちなのだが、せっかちが先回りしすぎて遅く見えるようだ。すぐやればいいことを放置しているので、ダラダラ時間稼ぎをしていると思われたりする。でも、それは「やること」の材料が揃っていないからだ。それを感知するのが早いので、誰よりも早く…

歯車の回転

知り合いがクルマを買い替えた話を聞くと、なぜだか自分も「そろそろかな」などと思ってしまう。僕は中古車数珠つなぎ方式で乗り替えているので、いつだって乗っているクルマは型落ちだ。だから、常に良いクルマがあれば替えようと思っている。だから、周り…

初心ネバフォゲット

人とメールでやりとりをしていると、つい相手の理解度に合わせないで先走ることがある。かつては自分も理解が追いつかずに、他人に知識のマウントを取られて嫌な思いをしたことがあったのに、結果的に同じようなことをしてしまう。ロクなもんじゃない。もっ…

ほんの少しのスコセッシ

僕は映画通でもなんでもないのだが、最初に入った会社を早々に退社してしばらくヒマだったので、ビッグネームの監督作を片っ端から観た時期があった。もちろんビデオだ。当時はビデオとDVDの過渡期だったが、まだ作品点数が揃ってなかったのでレンタル市…

隣のクラスに宇宙人

人は見かけによらないと思うこともあれば、見た目でなんとなく分かることもある。僕は人を見る目がないので、自分の第一印象を信じないことにしている。それでも第一印象には引っ張られるので、印象を固定させないようにしている。特に「なんか嫌かも」と思…

仕事が楽しいなんて言うなよ

僕は働くのが好きな方で、忙しいと愚痴は多くなるけれど内心では楽しくなっている。頭を使うような素案を出すのも好きだし、単純作業をひたすら無心でやるのも没頭してしまう。とにかく早く終わらせるのが好きなので、そのレスポンスの速さで発注元を驚かし…