とりあえずトリアージ

 腰の痛みに取り憑かれて、ほとんどの時間を腰の角度補正に要している。疲れる。痛みの程度は段々おさまってはいるが、気にしないで動作できるレベルではない。立つと痛いし、腰を前傾させるとビクッとなる。安定感がない。それでも当初よりは可動域が広がったので、数日前よりは楽である。

 楽になると動きたくなるので、思い切って近所のラーメン屋に行ってみた。自転車か歩きかでしばし迷ったが、衝撃の大小を考慮して歩きにした。自転車で段差を越える時のガタンに耐えられそうにないからだ。いざ歩いてみると、あまり大丈夫そうではない。やはり、腰を庇いながらで不自然だ。

 ラーメン屋までの道中は、健康体ならば5分ちょっとだろう。のんびり歩いて10分かからない程度の距離だ。腰痛の人間がリハビリ的に歩くと15分。それでも汗ばむ。厚着だったのかな。冬から春に至る季節の変わり目は、他の季節の移ろいに比べて圧倒的に難しい。服装の判断という意味で。

 たぶん気温の問題ではなく、単純に歩くのがシンドいのだ。姿勢をキープできれば問題ないのだが、ちょっとした体位変換で刺激が走る。心が折れそうになる。でも、ゴールには美味いラーメンが待っている。そこを目標にすれば歩ける。目標は大事だ。何かを目指せば、そこまでは挫けないのだ。

 普段はガラガラの店内には、珍しく先客が4組みもいた。4人掛けテーブルひとつと5人座れるカウンターがその店のレイアウトだ。満卓で9人である。ところが、ソーシャルディスタンスの世界では5人掛けのカウンターはひとつ空けて座るので3人までしか座れず、テーブルには夫婦で満席だ。

 まあ僕としても余裕を持って座りたいので、それで満席になるのは助かる。でも、店のキャパとしてはツラそうだとも思う。この程度の客数で外に待たせていたら食べずに帰る客もいるだろうし、全然儲からないのではないかとも思う。祝日の午後の日差しを浴びながら、そんなことを考えていた。

地元の残念な立地にある美味いラーメン屋を支援したい気持ちで通っている。