偽りのヘルシーライフの終焉

 昨年から今年にかけては全世界的に「何もなかった年」として記憶されそうだ。特に昨年のことは、すでに何も覚えていない。覚えてはいないが体には刻まれている。何もしなかっただけではなく、怠惰に過ごしていたのでしっかり太った。その余分を削るためだけに今年の前半を費やして痩せた。

 つまり昨年を通してやり遂げた(というか結果的に太っただけだが)増量を、今年に入ってリセットしたのだ。結局この2年で行って来いで、何もしなかったのと同じことになる。それでは切ないので、せっかくなら減量してやろうと思い、体重を大学時代の数値まで戻してみた。12キロ減量だ。

 四十代に入ってから体重は、ずっと90キロ台だったと思う。現在の80キロ台後半というのは高校から大学までの、いわゆる部活の現役時代と同じだ。あの頃と同じ運動性能に戻ったわけではないが、数字上だけでも若返ったような気がして気分は悪くない。心なしか体調も良いような気がする。

 大した苦労もなく減量したとはいえ、毎日のジョギングを日課として定着させることと日々の食事へのケアは怠らなかった。とにかく間食をしないことと、夜はご飯をお代わりしないというのを徹底した。とはいえ、そんなことは我慢のうちに入らない。歳と共に食事の量は少なくなっていたから。

 そんな食事制限の日々も終わった。保健指導の期間が満了したので、もう観察されずに済む。これまでも特に意識したわけではないが、それでも多少の息苦しさというか、縛りを感じないわけじゃない。それが自由になったのだから、反動で食べそうなものだ。ずっとガマンしてきたご褒美である。

 ところが、僕の欲望に反して世間は大自粛時代に突入した。何度目かのキツめの外出自粛依頼により、飲食店に食べに行きにくい。行っても良いのだが、僕の食欲解禁を祝うような雰囲気はない。こんなしみったれた世界で爆食したところで楽しくないと思うので、まだ食欲のフタは閉じたままだ。

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栃木県某所の名物・ニラそば。こんなのはいくら食べても太りませんからね。