走って熱して冷ます

 寒さとか忙しさとかを言い訳に、いつもジョギングをやめてしまう。でも、ただ健康のために走っているわけじゃないのだ。雑念を蒸発させるための時間として、ジョギングは最適だったのだ。走らないでいると、雑念が枝葉を広げてしまう。無駄な心の揺れに影響されるのは精神衛生上良くない。

 走っている間は、特に高尚な思考をしているわけじゃない。普段から高尚な思考も会話もしていないが、走っている間に考えることは、とりとめのない思考のタネのような不完全な断片だ。それが、走る体の揺れという上下動によって整理される感覚がある。ロシアのパズルゲームのような感じか。

 いまの僕は走るのがツラいので、思考に逃げているとも言える。雑念を泳がしているうちに折り返し地点まで行ければ、楽にジョギングタイムを終えられる。そう、とにかく往路がキツいのだ。北風というヤツだ。南北を往復するコースで、行きは必ず風の影響を受ける。その代わり帰路はラクだ。

 思考に逃げると言っても、別に楽しげなことを考えているわけじゃない。先々の仕事のスケジュールを組んだり、調べた方がいいと思う事柄を考えてみたりと、割と仕事のことを考えていることが多い。その方が実があるし、真剣に考える分だけ時間がかかる。思考逃避が長いほど走るのはラクだ。

 でも、折り返し地点を過ぎると、仕事のことを考えるのに飽きる。風もラクになるので、走るツラさは軽減される。疲れが出てくるので軽快に走れるということはないが、早く帰りたい気持ちでスピードアップしている気がする。そして、このツラさへの報酬として「今夜は飲もう」と思い始める。

 年明けから走るのをやめてしまったのは、やはり酒のせいだ。飲み過ぎて朝起きれない、というのを正月から数日繰り返し、朝にすっかり弱くなってしまった。最近の体重の増加にそら恐ろしいものを感じて走り始めたが、それまではダラダラと寝坊していた。走っても体重が減るわけじゃないが。

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写真の植物は元気だが、最近の寒さで母親の多肉コレクションは弱っている。