ジョガーは迷い道くねくね

 何かをしながら別のことを考えていて、気がついたら自分の居場所が一瞬わからなくなるときがある。クルマの運転中に考え事をしていて、知らないうちに目的地をスルーしそうになったりとか。高速道路では、セルフ自動運転モードのような状態になっているので、よく思考遊泳に浸ってしまう。

 実際には運転と思考を別系統で処理しているのだと思うのだが、我に帰った瞬間は怖い。徐々に運動系と思考系が繋がって、ふっと「あれ、いつの間にここまで来てたんだろ?」と思ってしまう。その時に、そこまで運転して来た自分の無防備さに戦慄する。居眠り運転同然のように感じてしまう。

 この「運転ハイ」のような無意識状態は、なるべく避けたい。でも、ジョギング中はこの無意識の海を泳ぐ状態に早く入りたいと思ってしまう。走るツラさから逃げたいという負の感情も多少あるが、とにかくスッキリするのだ。思考ジャンプの最中は、目からの入力もシャットアウトするらしい。

 運動しながら寝ているような、夢のような状態だ。しかも、自分で考えていることを夢の中で実現しているので自由自在だ。そこでは考えているという自覚はあるので、夢のように勝手に進んでいかない。例えば、夢の中でパンチしようとすると全然早く動けない、というような不都合はないのだ。

 ジョギング中に最も深く思考集中できるのは、学生時代のラグビーの試合である。あの試合でこんなプレーができたら面白かったのに、みたいなことをツラツラと考えていると没頭できる。過去に戻りたいと思うことはほとんどないが、学生時代のラグビーの試合は何試合でもやり直したいと思う。

 先日、あまりにも深く思考に没頭しすぎて、いま走っている場所がどこだか一瞬わからなくなった。用水路沿いを途中でUターンするコースを走っているのだが、Uターンした記憶がないのに復路の景色になっていたので「ここどこ?」と不安に襲われた。あの感覚は大きな刺激として残っている。

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いつもは通らない道をわざと通って、自分から積極的に迷ってみたりする。