透明ベースボール

 テレビでは連日、プロ野球の日本一を決める日本シリーズを中継している。僕が推しているチームはセントラルリーグの最下位に沈み、野球を応援する楽しみはとっくに終わっている。でも、セリーグの代表として出ているヤクルトを我が球団の代理と捉えて応援することにしたら楽しく観られた。

 ただ、この応援も心から徹することができない部分がある。ヤクルトのピッチャーが良すぎるのだ。若くて良いピッチャーが自信をつけてしまうと、来年のシーズンで大きな壁となることは目に見えている。そのことに気がついた時にはもう遅く、すでに若い左右のエースが好投して成長を遂げた。

 つまり来年もヤクルトは強いということだ。大きな戦力ダウンの要因がない。個人の好不調の波はあるだろうけれど、チーム力という点では変わらず、しかもシリーズを経てさらに手強くなるだろう。もし何か不安要素があるとしたら、若いふたりの投手がケガなどで離脱することくらいだろうか。

 人間がやることなのでケガはつきものだ。スポーツというのは健康のために適度にやる分には良いが、プロスポーツは日々鍛錬する代わりにすり減ってもいく。ケガしないようにトレーニングで強化したとしても、試合での動きは抑制できない。とっさの反応で体に無理な負荷がかかることもある。

 僕の推し球団もケガに苦しめられたシーズンだった。投手陣が何人もヒジの手術で離脱したのだが、復活したピッチャーもいた。順位が確定した頃の復帰だったので、実働としては来年に期待したい。このケガによる離脱で思ったことは、各球団のベストメンバーが揃うことってあったのだろうか?

 それぞれに「今がベスト」というチーム状態の時はあると思う。でも、それが全球団そろって最高な時があったら、そのシーズンはものすごく白熱しそうだ。今いるメンバーで最善を尽くすのがチームスポーツだが、それでも想定されるベストメンバーはいるはずだ。そんな総力戦を観たいものだ。

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新しい戦力が台頭すれば、古い戦力が外される。去る者を見送る季節。