美しき再挑戦

 かつてのヒーローが再び表舞台に立つチャレンジというのは、賛否両論が出るものらしい。年齢的な限界で引退したスポーツ選手が、引退後かなりの間をおいてその競技に再挑戦するというのは凄いことだ。それだけで賞賛に値する。売名行為の茶番かどうかなんて、その顛末を見ていれば分かる。

 先日、プロ野球のトライアウトを受けた新庄剛志選手(いまは選手ではないが、以下同)が、どの球団からも指名されなかったのでプロ再挑戦の夢を諦めた。TVでチラ見しただけだが、体型や動きはあまり変わっていないようだ。プロの世界は厳しいと言うが、もう少し夢を見させてほしかった。

 新庄選手は、学年でいえば僕のふたつ上に当たるパイセンだ。我が事に置き換えるとしたら、改めて大学に入り直して大学ラグビーのトップチームにチャレンジするようなものか。恐ろしい話だ。たぶん4年間で病院にいる期間の方が長くなるだろう。それ以前に、一度怪我したら終わりになるか。

 とはいえ、時間と金銭面が許せば大学に入り直すことは容易い。社会人のトップチームに入るのは不可能だが、大学に入って「ラグビー部に入れてください」と言えば大丈夫だろう。本当に大丈夫なのか? なんとなく学生スポーツの世界には、そう言う「変な人」が今までもいたような気がする。

 変な人を受け入れる雰囲気があるかどうかだ。大学の大らかさがそれを許す時もあれば、部活の閉じた世界が他者を受け入れないこともある。体育会系の部活は、スポーツ推薦枠の人間しか取らない場合もあるだろう。そういう事情は各々あるだろうが、変な人の人間力が風穴を開けることもある。

 そもそも新庄選手は、現役の頃から型破りな選手ではあった。引退後の生活でもハチャメチャなところはあったが、閉じた世界に風穴を開ける変な人としてはうってつけなのだ。これで来年のトライアウトも世間が期待するようになるかもしれない。もしかしたら「51番が再挑戦するかも」とか。

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いま自分にできる挑戦は「激辛チャレンジ」くらいだが、適辛で充分だ。