我が青春、ノートライ

 高校から始めたラグビーは、今でも僕の大きな要素だと思う。実際にプレーしなくなってから10年以上経つので選手ではないが、ラガーマンでありたいと思っている。それは特別な資質ではなく、スポーツマンシップとたいして変わらない意味だろう。そして、ラグビー的な思考で動く生き物だ。

 個人競技ではないので、チームプレーの中で自分の仕事をこなす。古いラグビーは、ポジションによって役割が決まっていた。現在でも大枠では変わらないが、早く確実な攻撃や、それに対抗する防御を敷くためにポジションの枠を超えた働きを要求される。そんな理想形が国際試合では観られる。

 来年はワールドカップがある。ラグビーのワールドカップで思い出すのは、第3回大会でのオールブラックス戦、128点差の大敗だ。あの試合でラグビーへの風当たりは冷たくなったと実感した。就職先であいさつする時にラグビー経験者だと言うと、あからさまに嘲りの言葉を投げかけられた。

 それ以降も大学ラグビー強豪校の不祥事などで人気が低迷し、代表チームの強化も上手く進まなかった。それが前々回のイングランド大会での躍進で、一気に人気スポーツとなった。南半球の強豪、南アフリカに勝ったのだ。その熱が前回の日本開催のワールドカップの盛り上がりに繋がっている。

 先日行われたテストマッチニュージーランドと対戦したジャパンは、7点差で惜敗した。ラグビーの7点はトライとコンバージョンキック1回分なので、野球に例えれば1点差に近い接戦なのだ。試合の流れが少し変わっていれば勝てたかもしれない差だ。これは、来年に向けて期待してしまう。

 学生時代の僕は、まあポジション的な事情もあるのだが、ほとんどトライしたことがない。高校の頃は一度もないし、大学時代も数えるほどしかなかった。でも、誰かがトライするワンプレー前のポイントで自軍に有利なボールを出せることの方が、僕のポジション的カタルシスは大きかったのだ。

3年前のノベルティを大事に持っている。来年もあの熱狂が戻って来て欲しい。