リリカル青春グラフィティ

 来年には50歳を迎えるド中年の僕だが、音楽の趣味はヤングゾーンにしがみついていたいと思っている。視野を広く保っていないと、老けこみそうで怖いのだ。ただ、闇雲に今のチャートをフォローするわけじゃない。聴こえるように耳を傾けた上で、聴いて楽しめるものを探し続けているのだ。

 洋楽は、サウンドのトレンドを理解する上では欠かせないので、チャートの上位のものを聴いたり音楽誌をチェックすることで補完する。新しい音の刺激を感じるためだ。でも、言語を理解できる日本のポップスは、サウンドのみで聴くわけじゃない。言葉が入ってくるので、歌詞を読んでしまう。

 誰にでも大事なリリックがあると思うが、僕にも大切にしている音楽に紐付けられた言葉がある。それは、たくさんある。洋楽でも意味が分かるような言葉なら、それを日本語に変換して大切に保管している。でも優先的に留めているのは日本語詞のものだ。心のストレージに貯めておきたくなる。

 いちばん分かりやすい言葉で、僕の座右の銘になっているのが「面白いことが大好きで、悪いことは許せない」という【ハロー!シャイダー】の歌詞だ。これは、単純に僕の心境にマッチするキャッチコピーだと言うに過ぎない。非常に都合の良い言葉なので、誰もがこれを指標にして良いと思う。

 でも、こんな子供向けのコンテンツだけを生涯の指標にしているわけではない。その時代ごとにグッとくる言葉があり、その都度心を揺さぶられている。最初に衝撃を受けたのは、中学生時代ごとにだろう。センシティブな季節に出会った自作自演歌手の言葉は、すべて意味を伴って刺さってきた。

 あの頃、もっとも流行っていたアーティストは尾崎豊だ。僕が自分の意思でチケットを取ってコンサートを観た2人目の歌手だ。ちなみに最初はアルフィーだ。その尾崎豊のコンサートは東京ドームでのもので、恐らく同級生が何人もいた。集中して観ていたつもりだが、すでに記憶は薄れている。

何でもない景色を見て詩情を刺激されたりすることがある、エモこじらせ中年。