とっ散らかっても定位置

 以前の職場で、デスクの上が書類で埋まっている上司がいた。関連書籍なども山になっているので、そこにある本が必要な時は崩れないよう慎重に引き抜かなければいけない。僕が引き抜いて、そのまま上に重ねておいたら後日その上司に叱られた。山のどの位置に本があるか把握していたらしい。

 デスク上に適当に置いてあるそれらは、本人にとっては定位置なのだ。でも、それを他人が解読するのは不可能だ。自分にしか読めない暗号を「察せ」と強要しているようなものだ。だから、上司だからというだけでそのお叱りを引き取ることはできなかった。それ以降、散らかり問題は平行線だ。

 僕は他人の頑固に対して寛容じゃないところがある。散らかっているのを直さない上司のこだわりは、頑固というよりは怠惰に近いと判断してしまう。散らかっていても場所を把握しているという言い訳を許すと、その人の怠惰全般を僕が許容していると思われそうで嫌なのだ。そこは僕も頑固だ。

 他にも個性を主張されると、それは「個性じゃなくてわがままだ」と思って受け付けない時がある。個性で押し通そうとする人に対しても寛容じゃない。個性に対しては僕なりの考え方がある。普段は恥ずかしくて隠しているが、ふとした瞬間に見えてしまうのが個性だ。基本的には隠して欲しい。

 たまに、開き直った人が「俺はこういう人だから」と宣言する時がある。そう言われると「自分で自分を評価するなよ」と突っ込んでしまう。しかも、そういう言葉を宣言する場合、大抵なにか粗相をした時だ。自分が粗相する属性があると決めつける前に、そうならないように気をつけて欲しい。

 こうやって記してみると、僕は他人に対して要望が多いのだ。実際に他人に要望を伝えることはないが、心の隅っこの方で「こうしたら良いのでは」とほのかに思っている。でも、最近は抑えが効かないのか、知らないうちにポロッと口から漏れている。そうならないためにここで発散しておこう。

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何気ない町中に、たまにどうしてそうなったのか釈然としない景色がある。