もう若くない麺ズクラブ

 ここでも何度か触れてきたが、中年が粋に見える麺類は「蕎麦」と相場が決まっている(すこし駄洒落)。単純に歳をとると量を食えなくなることも関係すると思うが、蕎麦の味を「わかる」ことは大人のたしなみだ。そして良い店を知っていることも重要なポイントで、ぜひ押さえておきたいぞ!

 僕が蕎麦を食べるのは、せいぜい駅のスタンド蕎麦くらいだ。しかも、それは単に時間に追われて「このタイミングでしか昼飯を食べられない」という状況に急かされた蕎麦食いだ。よく錦糸町でこの状況になる。総武線で千葉に向かうとき、どうスケジュールを組んでも駅蕎麦になることが多い。

 だからと言って、僕が「錦糸町のホームの駅そばがアツい」などとオススメしているワケではない。都合上そこでしか食べられないだけで、錦糸町で食べるべき美食は他にいくらでもある。ただ、僕が定期的に食べている蕎麦といったら、ここと浅草橋駅のJR高架下にある蕎麦屋くらいしかない。

 2年前までは頻繁に通っていた浅草橋だが、昨年来の状況でリモート仕事が増えたので、そちらに出向くことがグッと減った。僕にとって美食の町である浅草橋は、ランチのバリエーションが多い素敵な地域だった。ラーメンに偏りがちな外食だが、ここでは逆に選択肢が多すぎて迷うことになる。

 僕も、いつまでもラーメンばかり食べているのは浅ましいと思っていたので、この地域で蕎麦屋を探したりもしていた。でも、結局僕のリストに加わったのは先の高架下スタンド蕎麦屋くらいだった。もうひとつ、下町エリアに何店舗か見られる極太ワシワシ麺の蕎麦屋もあったが、そこは消えた。

 そんな僕に選ばれた蕎麦屋というのは、おそらく大人のたしなみとして押さえておきたいタイプの店ではない。サラリーマンの腹を支える良心の店ではあるが、粋な大人がシブく決める雰囲気は皆無だ。そんな風に粋な雰囲気を放つ蕎麦屋を僕が拒んでいるとも言える。食事はもっと雑で良いのだ。

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こんな雑多な蕎麦が僕の限界であり、また、最高到達点でもある。美味いぜ!