シェアすると恥ずかしくなる

 先日、両親が秋田に帰省していたときに、ホテルでコース料理を堪能したらしい。いや、実際には伯父さんがホテルの給仕係に無理難題をふっかけてしまい散々だったらしい。そのコース料理にカニが入っていたらしく、家で留守番している(48歳の)僕にも食べさせてやりたいと思ったそうだ。

 そこで翌日、伯父の家からかなり離れた港町でカニ仕入れて送ってくれたそうだ。僕と妹のために4杯ずつ、計8杯の小ぶりな紅ズワイガニが送られてきた。そこで僕は、先週のアタマから店を再開した酒場に差し入れることにした。どうやら我が家族はカニがそんなに好きではないらしいので。

 他にもいろいろお土産が送られてきたが、僕の苦手なメロンが毎度添えられている。しかも、伯父さん家で作ったものではなく、よく見たら銚子産のメロンだった。このメロンと稲庭うどんと、先日もここに記した僕のいとこが仕留めたらしいイノシシの冷凍肉を持って、行きつけの酒場を巡った。

 カニは結局、酒場にいるお客さんたちとシェアすることになった。常連のひとりにちょうど良い分量にカニを分解してもらって、そこにいた人々とカニを味わうことになった。カニあるあるによると、食べてる間無言になりがちと言うのがあるが、このご時世には必然的に無言になるカニは最適だ。

 僕はカニをそれほど好きなわけではないのだが、今回の小ぶりな紅ズワイガニは意外と美味しくいただけた。それは、もしかしたら同席した人々のおかげかもしれない。自分ひとり、または家族だけで食べてもカニあるある的な状況にしかならないが、知り合いがいると楽しげな時間に変わるのだ。

 それは量的な問題もあったかもしれない。さすがに数人でシェアできる量ではないので、その物足りないくらいの量が極端な無言タイムを生じさせずにカニの旨味をサラッと味わうことができたのかもしれない。ただ、自分で差し入れて言うのも何だが、人とシェアするのは照れて仕方ないものだ。

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渋谷の中華屋のもやしワンタン麺は、誰ともシェアしたくない大好きな逸品。