浮かれ町を横目に過ぎて

 僕が都内などの仕事先に行く際は、自宅から自転車かバスを利用して最寄駅に出ることになる。その最寄駅に、現在の僕のすべてがある。すべてというのは酒場のこと。僕が行くのは主に3軒の酒場だが、それぞれが異なった持ち味を持っている。そこにしかない持ち味を求めて、店を転々とする。

 それらの店を勝手に紹介していくが、特に店名も場所も明記しないので広報活動にはならない。ただ、それらの店の成り立ちを説明することで、僕自身を納得させようと思っている。ここ数年の僕の出費は、ほぼ酒場に消えているわけだ。だから、その出費に見合う魅力があると思い知らせるのだ。

 まず1軒目のお店はダイニングバーと言った趣の店で、店側の説明だとビアバー的なことを言っていたように思われる。常時5タップの生ビールがあり、カウンター裏には瓶ビールがズラッと並んだ冷蔵庫が鎮座する。ウッディな内装はDIY感もあり落ち着く。そして何より食事が旨く、多彩だ。

 この店に顔を出すようになって、しばらく酒場は「ここで良いや」と落ち着いてしまった。店の人と仲良くなったら、ひとりで来ても気楽だし、メニューの種類が豊富なので飽きない。それでも、この町の他の店も知りたいという欲は湧くもの。そこで開拓したのが、2軒目のアイリッシュパブだ。

 実はこのパブは、現在はすでに別の店となっている。経営者が変わっているのだが、その時の店長が営業を引き継いでいる。そこではビールしか飲まなかったのだが、最近ではカクテルなども少し飲む。食事はあまり食べない。そして、この町の酒場で最も金を落としたのも、この店だと思われる。

 その店の元バイトで、独立して自分で居酒屋を開業した女子がおり、そこが最近よく通っている3軒目の店だ。ここは地元野菜に特化した食事が売りになっており、そういう優しいアテが旨い店だ。現在の僕には、それらの店にしか居場所がないように思える。もうすぐ断酒も終わるので、帰ろう。

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僕の猿山には、他の猿もいて好き勝手に遊んでいる。ボスザルは店主だ。