冒険者たちは何処へ行った

 長い休みがあると旅行に行くタイプではないのだが、定期的に旅情を欲するので「どこか行きたいなぁ」と思うときはある。以前は常に狙っているエリアがあって、時間があったら行こうかなと調べたりはしていた。実際に行くわけじゃなくても、そういう空想旅行も面白いので本気で考えるのだ。

 現在の状況では空想旅行しかできないのだが、本気で考えるためには実際に行ける場所でなければ楽しくなるスイッチが入らない。移動を制限されていると夢見ることもできない。いや、夢は見てもいいのだけれど、僕に限ってはリアリティがない空想では萌えないという難しい性格を持っている。

 旅情発作が起こるのは、地元の酒場に飽きたり、飲み仲間の出張レポートなどを聞いて触発されるからだ。今はそういう外的要因が残念なことにないが、それでも遠くに行きたい気分は持っている。先の理由から具体的な場所を調べたり妄想することはないが、心が旅を求めている。気取りすぎか?

 旅先での楽しみは土地の美食と名店探しだ。美食の方は「そこでしか食べられない名物」があれば頼むし、なければ宿の人や駅などの情報でいい店を探す。この店探しが旅行の成否を大きく左右するので、慎重かつ大胆な判断が必要になる。大胆な判断を下した場合の方が後悔は少なく、楽しめる。

 普段の外食では美味いものしか食べたくないが、旅先では何割り増しかの優しい舌になっているので、逆をつきたくなる。入ったことを後悔するような変な店の方が忘れられない思い出になる。あえてボロい店に狙いをつけ、「こういう店は美味いから長く続いているんだ」と自分に言い聞かせる。

 この仮説はだいたいハズれる。やはり、売り上げが悪いからボロくても建て替えられないという事情に見える。だからと言って気絶するほどマズいわけでもない。ボロい店の割には高いと感じることが多いような気がする。外観で勝手に格安店と決めつけているこちらが悪い。あゝ、旅行行きてえ!

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地元ではボロい店には入らないが、朽ちた建物を見かけると写真を保存する。