ひとりで桜を見る会

 僕のジョギングコースは用水路沿いで、水路の両サイドが長い桜並木になっている。この手の桜の名所は日本中に数限りなくあるのだろうが、ここも隠れた名所だと思う。ただ、交通の便が悪く、大通りから内側に入った抜け道なので大きなトラックや狭い道を飛ばすクルマで環境はよろしくない。

 民度の低いエリアなので仕方ないのだが、とは言え、オールドスクールなヤカラのような人の姿は減っていると思われる。単に流入民が増えて、隣近所の付き合いの薄い人間関係の冷たさのようなものが漂っている。そういう意味の殺伐とした雰囲気が、結局街の雰囲気を悪くしていると思われる。

 そんなエリアなのだが、ジョギング中に見かける水路沿いに集う人々は古い人間たちだ。単に老人ということだけでなく、おそらく長く近隣に住み暮らす人々なんだと思われる。何でわかるかという明確な根拠はないが、どことなく〈土着〉という言葉が似合う老人たちなのだ。しっくりきている。

 そんな土着翁のグループがいくつかの塊となって、僕のジョギングコースを塞いでいる。はっきりいって邪魔なのだが、土着の者たちの方が上位だと思いコチラがよける。水路沿いは遊歩道になっているのでクルマを気にせずに走れるのだが、彼らをよけるたびに車道にはみ出さなければいけない。

 そういうノイズが多々あるコースなのだが、この程度のノイズがあったほうが走っていて気がまぎれる。何もない道をストイックに走るのも気持ちいいと思うが、まだランニングが脳内から快感物質を分泌するほどのレベルに達していない。死にかけた体を、走ることで移動させているだけなのだ。

 この体は、特に下半身に問題を抱えている。ヒザがイチバンのウィークポイントだと思っていたが、どうやら足首の状態の方が良くないらしい。だからなるべくフラットな道を走りたいのだが、遊歩道はレンガが細かい段差で足を引っ掛けやすい。そろそろ新たなコースを開拓した方が良さそうだ。

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このジョギングコースには釣り人とポチ散(犬の散歩の意)の老人が多い。