ムラサキに近いピンク色

 酒場の客は人それぞれだけれど、みんな多少は周りに気を使って飲んでいるものだ。もちろんオフ状態なのを前提としつつも、公共の場であるという意識は抜けない。自分の部屋のように振る舞ってはダメなのだ。限りなくオフだけれど、他人に見せても平気な程度のハダカしか見せてはいけない。

 例えでハダカと記したが、体育会の嫌なノリでは飲み会で服を脱ぐという愚行が横行していた。鍛えた体を見せたい願望なのだろうが、それで笑っているのは脱いでいる自分たちだけなのだ。あんなにスベって平然としているというオモシロは辛うじて残っているが、それにしたって1回で十分だ。

 この、できれば生涯で1度も見たくない地獄のおスベりタイムを数限りなく見させられてきた。あんな馬鹿騒ぎは2度としたくない。もちろん騒いでいるのは僕ではないのだが、その渦中にいるので僕も同罪だろう。止めても無駄なのだ。脱いだ男どもにニヤニヤと囲まれて不快になるだけなのだ。

 この手の〈脱ぐ飲み会〉からは30代前半で離脱した。その時の人間関係はかなり整理したので、もう男の汚ったないハダカを見ながら飲まされることはないだろう。今はもっぱらひとり飲みだ。酒場の客はみんなひとり客だが、全員が知った顔なので素性のわからない緊張感などはまったくない。

 そんな知った顔の中にも、ザワザワさせてくれる人がたまにいる。大きな声で浮気相手とのプレイの詳細を解説する性欲大魔神だ。若い頃は、中年のそういう自慢話は聞くに耐えなかったが、その大魔神に近い年齢となった今は「すごいな、よくやるな」と旺盛なパワーを賞賛したい気持ちである。

 また、かつてはそういう話を眉唾で聞いていたが、おそらくそれらの与太話は実話だ。なぜなら、面白く改変せずにエロ部分だけを話しているからだ。あの手の話に嘘を盛り込むと、学生時代に経験もないのにエロ話をして恥かくダサさに似てくる。そんな嫌な過去を現実で塗り替えているのかも。

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ヘルシー志向ではないのに、野菜好きだから動物の部分が枯れてきたのか?