温度感知センサー内蔵

 このところ毎朝ジョギングしているので、気温の変化に敏感になってきた。昨日までは殺人的に暑くて、走りながら体調に気を使わなければいけなかった。頭が痛くなったり気持ち悪くなったらアウトなので、タオルで頭への直射日光を防いだり日陰を選んで走ったり、とにかく慎重に走っていた。

 そこまでして、しかも何故暑い時間に走っているかと言うと、短パンを履いた時の白い足が何とも情けなかったからだ。本当なら夜に走った方が熱中症などの危険は少ないのだろう。でも、部活で培った思考回路には「太陽の下で走れ」と刻まれている。暑さに慣れ、暑さを制する者が夏の王者だ。

 今朝も走ったのだが、昨日までの危険な暑さがなりを潜めていた。いや、確かに暑いことは暑いのだが、この暑さは体が求めている温度のような気がする。つまり、正しい夏の気温だと思うのだ。記録的で殺人的で危険なアラートが出るような暑さじゃなく、いわばオーセンティックな夏の暑さだ。

 ただ、この気持ち良い暑さの下で走るのは、やはりツラい。先週から走り出して、まだ体も慣れてはいない。徐々に下半身の各部が悲鳴をあげはじめている。無論、そんなときに僕は無理をしない。いつものランコースを途中で引き返すことにして、しばらく用水路沿いの木陰で水面を眺めていた。

 その用水路には、桜の季節になると花が咲き乱れて、町内会が「さくらまつり」を催して露店が並ぶ。想像だが、そこには「カメすくい」も出ていたことだろう。その亀が毎年何匹か逃げ出したり、持ち帰った近所の住人の家から逃げたり、または用水路に放したりしたので大量の亀が住んでいる。

 僕はリクガメは好きだが、この用水路にいるミシシッピーアカミミガメという外来種は全然好きじゃない。用水路の流れをぼんやり眺めていると、ヤツらの影が見える。こちらが見たことを察すると、即座に水中深く姿を消す。不愉快だ。お前なんかに興味はない。ただ目が合っただけじゃないか。

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水面には無数のアメンボが滑っていた。僕も水の上を走れる気がする。