軽薄を貫く覚悟はあるか

 夏を感じられるのはごく短い間だと分かっていながらも、酷暑が続くとヘトヘトで参ってしまう。早く涼しくならねぇかなぁと、愚痴ばかりこぼしがちだ。出先でひと息つくごとに「はぁ、アチィなぁ」と手をパタパタさせて微風を送る。こんな時代じゃなきゃ、全ての出先でビールを頼むだろう。

 でも、僕は知っている。お盆過ぎたあたりに急に涼しくなる瞬間の、あの何とも言えない寂しさを。音楽に例えるならフジファブリックの「若者のすべて」に描かれているような雰囲気だ。あの寂しさは、できればひとりでは耐えたくない。耐えたくはないが、何十年もひとりでやり過ごしている。

 現在、毎日ジョギングで夏の暑さを体感している。この日課のおかげでジリ貧のフリーランス業務がヒマで不安でも、一応何かをしている感じを演出できるので精神衛生上の平衡を保っている。それは置いて、日々の暑さに耐えてきた成果として暑さに慣れてきたようだ。今日は風が涼しく感じた。

 ただ、これも長年の経験で知っていることなのだが、7月中の気温はアテにならない。本当に暑いのは8月に入ってからだ。今日のように7月の後半で涼しいとか思っていたら、後でカンカン照りの酷暑を喰らうなんて何度も経験している。だから騙されない。でも、期待するのは仕方ないことだ。

 僕は、できれば夏に強い男でありたいと思っている。夏が大好きで、多少の暑さでもヘッチャラで、暑い日の野外イベントを存分に楽しむ超人。見るからに夏仕様のマッチョマンになりたいわけじゃなく、これまでの僕が急に夏に強くなるのが理想だ。まあ、夏に強い人間は必然的に黒くはなるが。

 今年から取り組んでいる保健指導によるジョギングその他の減量活動は、いわば夏男養成トレーニングのようなものだ。この夏を乗り切ると、僕は黒くて活動的で面倒臭い中年になりそうだ。痩せた成功体験を自慢げに酒場で話すだろう。なんか「なりたくない大人」への道まっしぐらな気がする。

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エスニックでオーガニックなまぜそば。僕の願望をすべて具現化した食べ物。