じんわり不機嫌な川辺

 この暑熱の中、ジョギングに目覚めてしまった。本当ならば早朝に走って気持ち良くひと汗かく程度の運動にしたい。でも、起きれないので、気がついたらギラギラの太陽に照り焼かれることになる。家に着くとフラフラになってしばらくボ〜ッと無力化する。その後シャワーを浴びて人間に戻る。

 体力もないし、古傷がすぐに主張するので、ジョギングといっても歩くよりも遅い。下半身に小型爆弾が無数に仕込まれているので、肉離れの気配を感じたらすぐに歩くし、心配なら止まって各部を伸ばしたりする。5キロに満たないコースだが、ゆっくりと時間をかけて1時間ほど徘徊している。

 僕が前職を辞めて、現在のようにフリーランスになって以来、たまに体が心配になって走ることがある。草野球チームにも入っているので、その体力作り的な意味合いもある。これが、続いている期間もあれば、パタッと走らなくなることも多々ある。走らないと言うか、肉離れによる離脱である。

 今年に入って何日か走ったが、例によって肉離れによって走れなくなったので、スクワットや空気椅子という前時代的なトレーニングでやり過ごしていた。でも、梅雨が明けたら「走らなきゃ」と思い立ち、ここ数日はフラフラと出かけている。コースはずっと変わらず、近所の用水路沿いである。

 この用水路沿いに、この頃やけに釣り人の姿を見かける。以前はチラホラという程度だったが、ここ数日はそこら中で見かける。もちろん釣り人同士は元々ソーシャルディスタンスを取っているので、密集しているわけではない。あの距離が安心感を呼び、新しい趣味として注目されているのかも。

 そんな釣り人を見ていると、この暑さの中でちょっとした異常事態が起こっていた。ある釣り人が「暑いからバケツの水がお湯になってるよ」と隣に声をかけたのだが、隣の人は「水だよね」と意味不明に返していた。ストレスが溜まっていると思われるので、余計なストレスを産まないでほしい。

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用水路沿いの野良猫は、そんな釣り人のやりとりをしらじらと眺めていた。