あの夏のジュースをひとくち

 暑い日に思い出すのは、学生時代のハードな部活だ。すべての部活学生が真夏の練習は地獄だったと記憶していることだろう。学年が上がるに連れ、その地獄の度合いは増す。そして、大学のラグビー部に至ると「高校までは天国」と感じることになる。まあコレに関しては「個人差があります」。

 ラグビーは冬のスポーツと思われているが、大学のリーグ戦は秋に行われる。もっと強ければ正月をまたぐのだが、僕らは2部リーグと言うワンランク下のカテゴリーだったので年内には終わってしまう。だから秋にしか公式戦は行われない。9月から始まるので、初戦はまだ暑いが、夏ではない。

 それでも、公式戦前に仕上げるためには夏の練習はものすごく大事だ。そこでチームを完成させなければ、秋の初戦から勝負できない。なので8月に入ると長い合宿に入ることになる。長野の避暑地で、ひたすら練習試合を組みながら実戦のイメージを具体化させてゆく。この合宿は、結構楽しい。

 あの頃は、試合をするたびに「何かある」ような気がしていた。特に合宿では怪我人が増える。ここで怪我をすると、その後すぐに始まる公式戦には間に合わない。だから、自分より上の選手が怪我をするとチャンスでもある。その選手の代わりに下から呼ばれる。上手くすれば、そのまま残れる。

 そうやって上のチームに呼ばれると、最初はものすごく緊張する。できればソツなくこなしたいと思っているのだが、普段よりも良いボールが回ってきたりする。それもそのはずで、レギュラー陣はみんな上手いのだ。だから、そこでプレーすることはとても勉強になる。でも、戦力にはなれない。

 以上のように合宿はチャンスと隣り合わせだし、また毎日試合できるので楽しい思い出なのだ。でも、楽しい合宿もいつかは終わる。そして学校に戻ってからの通常練習がシンドイのだ。あのシンドさを想像するだけで熱中症になりそうだ。いつも、練習後に飲むジュースのことばかり考えていた。

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野毛の都橋商店街。大学の練習後に飲みに行くような豪傑ではなかった。