春はお別れの季節ですが何か!?

 幼稚園を含めると、卒業式に出たことは5回ある。そのうち4回は次の段階に進むための過渡期に過ぎないが、大学の卒業は完全な学生時代の終焉となる。社会に出てから勉強したくなって大学に入り直すような人もいるが、ひとまず社会人として〈稼いで生活する〉人間になる場合が多いだろう。

 そんな大学の卒業式をとても雑に過ごしてしまった。式には出たが、運転免許合宿の途中で帰ってきて、またすぐ合宿の宿舎に戻ったことしか覚えてない。僕の日常はすでに次の段階に進んでいた。就職先から「免許を取るように」と言われて合宿免許を申し込み、入社式に1週間遅れる体たらく。

 さかのぼると高校の卒業式でも、すでに大学の寮に入っていた。僕の日常は大学ラグビー部の泥臭い練習に支配されていた。だから、高校の仲間と卒業式の後で楽しく過ごすようなハッピーな時間はなかった。そのせいか、長らく高校の仲間とは疎遠になる。なんとなく距離ができてしまったのだ。

 中学校はどうだったろう。僕の中学校は自転車で通う生徒に限りメッ通(ヘルメット通学)だった。卒業式も普通にメットをかぶって行ったが、ずっと嫌だったので学校の駐輪場の屋根の上にぶん投げて帰ってきた。帰り際に好きだった女子生徒から声をかけられる、なんていう甘い思い出はない。

 中学・高校は学ランだった。ウワサには「第2ボタンください」と女子から言われると聞くが、それって現実世界の話なのだろうか。自分の身には起こらなかったので、それはこの世界に無いのと同じだ。ただ、僕がモテないという劣等感を植え付けさせるための壮大なドッキリなのかもしれない。

 小学校や幼稚園は、式の手順を追うことしか考えていなかったような気がする。それと、とにかく集会が嫌いで、早く人の集まりから離れたいと思っていた気がする。それは今に至るまで変わらない。どの卒業式でもアッサリと教室から離脱して、そのままいつも通り帰ってきてしまうのであった。