全国制覇という野望

 たまに、無性に食べたくなるものがある。大好物というワケでもないのだが、それを食べる快楽に取り憑かれているとでもいうのだろうか。頭にその味を思い浮かべると、もう「食べたい」と条件反射で欲するのだ。そういうジャンクフードがいくつかある。それらは全てチェーン店で食べられる。

 以前はチェーン店を信用していなかった。どこに行っても同じ味を提供するということは、誰でも作れるということだ。それは技術を必要としないということだ。レトルトであったり、セントラルキッチンで作られた工業製品に過ぎないという思い込みから、ずっと勝手に決めつけていたのである。

 確かに、品質を安定させるために品質管理された製品であることは間違いないだろう。ただ、そうして出来上がったものが、イコール美味しくないとはならないのだ。開発者の努力がある。日々、技術が進歩して、店舗での調理システムも高度になり、美味しく安定した食事を提供してくれるのだ。

 だから、いつ食べても同じ味なワケだ。その味に惚れこんだら、いつでも同じものを日本各地で食べられるのだ。まあ、全国チェーンの店ともなれば大勢が納得するところを狙うだろうから、特に個性的な味を追求するとは思えない。最初は個性的でも、長く続けるうちに平均化してしまうものだ。

 チェーン店だと、個性的な店が生き残ることはあまりない。どうしてもソフィスティケイトされて、平均化が導入される。そういう当たり障りのない食品に反旗を翻す意味で、ラーメン二郎などは独特な発展を遂げているような気がする。あれはチェーン展開とは異なるが、確かにどこにでもある。

 かつて、近所にあったチェーンのラーメン屋が好きでよく行っていた。ラーメンの味は安定のレトルトクオリティだが、その店はなぜか生ビールが無性に旨かった。それ以来「一番搾り」が長いこと僕の国産ビールのトップだ。そこ以外でも試したが、あの店を超える一番搾りには出会えていない。

f:id:SUZICOM:20200205143350j:plain

昨日食べた天一の話をしたかったのだが、脇道から戻って来られなかった。