大将がお気に入り

 2年ほど前から通うようになった隣り町のラーメン屋が、増税に伴う値上げでいろいろ考えた挙句、麺量を増やしてポイントカードを導入することにした。値上げした分、お客さんに還元したいのだと言う。気持ちは分かるけれど、本末転倒な気がする。ポイントカードも、3回行けば特典が得られるし。

 ただ、このような優しさというか、お客さんに対して真面目に対応する姿勢が、僕がこの店に通うようになった理由だろう。僕は比較的、飲食店では「偉そうにしたくない」と考えている方で、逆に、飲食店側から不愉快な対応をされることの方が多い。その点、この店ではイーブンな関係が築けている。

 この店の大将は、サービスは丁寧でお客さんファーストなのに、店頭でのやり取りではくだけた調子で話しかけてくる。仲の良い客に対しては、ぶっきらぼうと言ってもいいだろう。表面的には優しさや真面目さは感じられないのだが、それでも雰囲気で「この人は信じられる」と思わせる素朴さがある。

 最初に店を訪れたのは、ネット検索で近所のラーメン屋を探したら高得点で興味深い店だったから。僕は、いわゆる「二郎系」的な極太麺で味が濃くてニンニクと背脂にまみれたラーメンは苦手だった。それは、食べるのに疲れるからだ。味が苦手なわけじゃなく、店頭でのやり取りが面倒だったからだ。

 その面倒さがなければ気軽に食べられるのにと、僕が求めていたのは気安く行ける二郎系だったのだろう。先の店は、二郎系のラーメンをメインに置きつつ、味の異なるラーメンやつけ麺も用意してある。最初、ぼくが頼んだメニューも「坦々つけ麺」で、その時はソレが気に入ってよく頼んでいたもの。

 何度か通うようになって、周りの客が、やはり「二郎系」のラーメンをよく頼んでいるのに気がついた。店主とはすぐに打ち解けたので、すでに頼みにくさはない。なので、僕が最初に頼んだ時も麺量を伝えて野菜を増量してもらい「あとは普通で」と苦もなく言えた。昨日も食べたが、やはり旨いのだ。

f:id:SUZICOM:20191008083325j:plain

厳密には二郎系ではなく、角ふじという全く別ラインのラーメンである。