泡の中へ行ってみたいか?

 ネットの動画で観たというか、聞いたことなのだが、「もしバブル期にタイムスリップしたら何をするか」という話題でのトークセッションがあった。世代の異なる数人が語らう緩いトーク番組で、その話題を振られたのはバブル世代の50代の漫画家だ。ただバブルの恩恵は受けていないそうだ。

 質問した側は40歳そこそこなので、バブル期を学生として過ごしている。浮かれた大人を見ながら、大人になれば自動的に金持ちになれると思っていたのかもしれない。でも、それには高学歴が必要で、ハードな勉強を強いられる。その結果、すでに崩壊したバブル後の厳しい社会が待っている。

 そんな世代ギャップのある中で、冒頭の話題について50代漫画家の答えは現実的だった。現代の社会の問題は、過去の問題を留保した結果なので、過去に戻ったのなら「その問題」に決着をつけなければいけない。でも、バブル景気に浮かれた人たちが、そんな耳の痛い話を聞くわけがないのだ。

 とは言え、現代を知っている身としては、そこで何もしないわけにはいかない。理解者を得て具体的に動かなければいけない。その後にやってくる災厄を知っているのだから、本当ならできることは多い。でも、大きすぎる災厄に対して時間が足りないようにも思える。だから、資金が必要になる。

 そうなると、元手はギャンブルで当てるしかない。記憶にある競馬の大穴に大金をベットして得るしかない。この辺の発想が大ヒットした某映画みたいで笑える。それを何に使うかは異なるが、タイムトラベラーが大金を得る手段はいつも変わらない。それを元に得るのは、発言権のようなものだ。

 そうやって考えると「バブル期へのタイムリープ」は任務が多すぎる。そして、ちょっと間違えると何も変えられない上に、その災厄の当事者として矢面に立つ可能性もある。ただ、創作の原案としては面白そうである。こうすれば救えた、変えられた歴史の改変ドラマとしてメッセージ性も高い。

僕が過去にタイムスリップしたなら、まずは自販機の値段を確認しようと思う。