跳ねるリズムとコーラス

 先日、飲み仲間と酒場で話していたら、店のBGMで気になる曲が流れてきた。瞬時に反応したのは若い子で、早速シャザムで検索していた。僕が聞くとレイ・チャールズの曲だということだ。まったく手付かずの巨人だった。まんべんなく聴いてきたつもりでも、まだたくさん抜けがあるようだ。

 その曲は、邦題では「旅立てジャック」と呼ばれている。メロディに聴き覚えがあるのは、それだけ古くから親しまれているということだろう。具体的に聴いた記憶はないが、ボンヤリと思い浮かべる古き良き時代の空気感がある。女性コーラスが印象的なジャンプナンバーだが不穏な気配もある。

 この不穏さは、なんとなくギャング映画やピカレスクもののサントラに似合いそうだ。そんなことを考えていたら、なんだか古いリズムアンドブルースをディグりたくなってきた。この時代の曲をまとめてプレイリストを作りたい。年末の忙しい最中だが、人生のサントラは常に更新していきたい。

 数年前に韓国で「サニー」というタイトルの青春映画があったが、そのタイトルは古いソウルの名曲に由来する。その映画では原曲は使われていなかったが、その曲を僕が知ったのは、さらに遡って「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」という映画の劇中歌として聴いてグッときた時である。

 何かの雑誌で、この映画での「サニー」の使い方が良いというコラムを読んだと思うが、もちろん内容は覚えてない。先の「旅立てジャック」に通じる暗さがある曲だが、もう少しエモい感じだろうか。エモいという言葉を過不足なく使いこなせるほど、僕がエモさを理解しているとは言えないが。

 古いリズムアンドブルースとソウルのプレイリストを考えていた僕だが、この2曲で止まってしまった。どちらも強い印象のある曲で、個人的な思い入れもある。これに比べると、今からディグって横に並ぶに相応しい曲が見つかる気がしない。いや、むしろ横に並ばせたくないとすら思っている。

旅立てジャックといえばRCサクセションのサマーツアー。遠くへ行きたいな。