浮かれ中年男の歌謡日

 年末になると街やテレビコマーシャルなどでクリスマスソングが流れたりする。華やいだ気分には否応なく拒否反応を示してしまうタイプの非モテな中年男ではあるが、クリスマスの気分を年々受け入れるようになった。どんな心境の変化かと考えてみると、それは経年変化としか言いようがない。

 あとは姪っ子の誕生日がクリスマスイブだったりするので、自然と心が温かい気分になってしまうのも大きい。叔父さんが非モテで拗ねてばかりというのはダサい。そこは大人の大きな心で構えるのが正しい叔父さん像だと、特に意識することなく飲み込めた。それにより勝手に多幸感を得ている。

 今年、いや昨年からだろうか、そのクリスマスムードを醸成する音楽をあまり聴かない気がする。スーパー配慮社会が浮ついた気分を自主規制しているのか。例年よりクリスマス的な意匠のボリュームが低い気がする。ただ、それはマスメディアの話で、商店街レベルでは多少のムードは出ている。

 とにかく、なんとなく浮かれた音楽の分量が足りてないからなのか、最近は昭和の歌謡曲ばかり聴いている。サブスク聴き放題が歌謡探索に拍車をかけ、というほどには掘れていないのだが、かなり再発見するものがあった。そこに至って季節感は関係ないので、サマーソングなども含まれている。

 僕が真実なつかしさを覚えるのは、昭和末期から平成初期にかけての歌謡曲だ。リアルタイムで聴いた記憶があるのはその辺だが、確かに聴いてムズムズするのだ。それを乗り越えて、やっぱり「良いなぁ」と思う曲をプレイリストにまとめている。なつかしさと共に、新しい発見も多くあるのだ。

 特に女性アイドルの曲は、実は当時は恥ずかしくてちゃんと聴いてなかったのだ。だから、改めて聴くと覚えていない箇所があるので、新鮮味もあったりする。あと、まったく記憶にない古い曲でも、昨今のシティポップブームの萌芽のようなものを感じられたりするので、飽きずに楽しめている。

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大きな建造物の斜めの屋根を見ると、湾岸沿いの室内スキー場を思い出す。