中年涙は開き直り

 家で飲んでいると、いつまで経っても終われなくなる時がある。ひとりで部屋飲みしていると、ネットの検索動画をツマミに延々と杯を重ねる。そのうち階下に降りて氷を取り替えたりするのが面倒になって終わるが、茶の間で飲んでいたらもっと深酒してしまうだろう。ステイホームは体に悪い。

 シラフの時でも動画検索して、新しいバンドや古い曲のチェック、お笑い芸人の配信番組、元プロ野球選手のチャンネルなどを観てはいる。でも、そういうのは表層の自分で、本当に欲しい情報は酔わないと自覚できない。逆に、飲んでいるのに新しい発見がないような時は、酔えなかったりする。

 そういう酔拳を用いた動画検索で知った曲を聴いていると、無性に泣けてくる。飲むと泣き上戸というわけじゃないのだが、ひとりの気安さで感情を解放すると涙が止まらない。そういう入りで聴いた曲なので、シラフで聴いても泣きそうになる。ほとんど条件反射だ。あまり泣きたくないのだが。

 たまに茶の間で飲む時もある。TVが面白かったりすると、晩飯の後もそのまま居続けて飲んでしまう。ちなみに僕は毎日は飲まないのだが、家で飲む時は晩飯の時間までは我慢する。晩飯のオカズがビールに合いそうだと思うと、飲む量が増える。それでも大体ご飯を食べると切り上げるのだが。

 茶の間で飲んでTVを観ていると、油断して泣きそうになる時がある。茶の間には母親がいるので、親とTVを観て泣いている中年はあまりよろしくない。昨日もドラマを観ながら飲んでいたが、子供の可愛さとか他愛ないことでウルッとする。気にせず泣いちゃおうかと思うが、まだ我慢したい。

 昨日観たドラマは「監察医・朝顔」だが、このドラマの主題歌を歌っている折坂悠太のライブが、僕が観た最後のライブだ。そのことを思い出すと、何も気にせずに外出していた「少し前の当たり前」を遠い昔のことのように感じてしまう。そのライブ自体も良かったから、余計に泣けてくるのだ。

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暗くジメジメした地下にも居心地の良さがある。住めば都というやつだ。