忘れたくない、忘れたい

 そろそろ年末の気配が近づいてきて、忘年会の予定がちょっとずつ入ってきた。会社員ならば幹事を頼まれたりする時期だが、僕のようなフリーランスは呼ばれた席に顔を出すだけ。自粛ムードが長く続いてきたが、今年は宴席も増えそうな気配がある。ひとつでも多く飲み会に呼ばれたいものだ。

 最近の若年層の方々は、あまり酒を飲まないと聞く。僕の若手時代の常識とはかなりかけ離れているのだ。クルマに乗らなかったり、TVをほとんど見なかったり、異性と深く付き合わなかったりなどと聞く。本当のところは分からない。でも、彼らの常識に僕も侵食されつつえるような気がする。

 上記の中で僕と確実に異なるのが、酒を飲まないという点だ。僕の若い頃は、仕事の出来はさて置き、とにかく宴席は好きだった。普段の仕事では得られない学びがある。僕は酒が入らないと上手くコミュニケーションを取れなかったのかもしれない。飲めば、酔いに任せて無礼講的に話せるのだ。

 そんな過去の思い出もあり、仕事関係の人と飲むのは嫌いじゃない。お客さんによっては、かなり難のある飲み会もある。マジメに見える人が、酒が入ると荒いということは多い。我慢している分の反動なのだろう。そういう人とは飲みたくないが、でも、そういう面を見られたのは面白い経験だ。

 年配のお客さんの中には、飲みにいくと必ず女性のいる店に行きたくなる人がいる。いわゆるホステスさんが先に着く店だ。そこでカラオケするのが定番となっており、おっさんカラオケが苦手な僕にもマイクを渡してくる。店によってはカラオケ有料だったりするので、申し訳ない気持ちになる。

 気心知れた仲間と行く分には、カラオケは楽しい。僕の選ぶハンパにマニアックな曲でも、半ば知らん顔して流してくれる。でも、お客さんの前では多少は合わせなければいけない。以前は吉幾三で誤魔化していたが、もう少し自分でも楽しめる曲を選びたい。結局こういうのは場数がモノを言う。

忘年会の数が減り、徹夜で飲むということも無くなった。それは良いことだが。