言葉探偵の推理ファイル

 小さい頃「オッサンくさい」と思っていた言葉を自分が使っていることがある。口に出さなくても、頭の中で気持ちを言語化する時にオッサン表現で表していたりする。自然に使っているというより、自分の年齢に合わせてオッサン表現を当てている気がする。我から積極的にオッサン化している。

 今朝の起き抜けに、布団の中でふと「おこたにあたっていけ」という言葉が浮かんだ。コタツのことを「おこた」と呼ぶのはお婆ちゃんっぽい。そして問答無用の温かみを感じる。ふと気を緩めると涙ぐんでしまいそうだ。昨年亡くなった祖母が、果たしてそんなことを言ったかは覚えていないが。

 その後、TVで日本シリーズの話題が出た時に「推しチームが出ていないから応援に力(リキ)が入らない」と思っていた。このリキという表現がオッサンくさい。子供の頃よく言われたような気がする。少年野球だろうか。でも、そこで言われたのは「力むな」という正しい表現だった気がする。

 リキという言い方をネットで調べると、どうやらこれは漫画由来の表現らしい。僕が子供の頃にやっていた漫画だ。つまり、このリキに関しては現役のオッサン表現なのだ。僕ら世代のおっさん表現と言い換えても良い。僕が子供の頃にオッサンから浴びた旧表現ではない。体に馴染んでいるのだ。

 そういえば最近は、僕から見たオッサン、つまり年上の人間とあまり話していない。僕から見たオッサンと話さないと、相対的に自分がオッサンになる。とは言え周りは同世代ばかりなので、寂しいオッサンが慰め合うしみったれた世界に生きている。そこで現役のオッサン表現を熟成させている。

 フィフティーゾーン突入寸前なので、確かにオッサン世代ではある。そこに反抗する気はないが、積極的にオッサン化する必要はない。体力的な衰えで動きがオッサンじみてしまうのは仕方ないが、そこは日頃の努力で体力の底上げを図るべきだ。明るく楽しい後半生を生きるための努力は必要だ。

港湾のキリン、ガントリークレーンを見ると力(リキ)が入ってしまう中年男。