険しい道を経て得るもの

 サブスク音楽配信サービスの利用を始めたのは昨年の後半からだが、それまではソフトで買って聴くことが「正しい聴き方」という思い込みが強かった。今でもちょっとズルしているような気がする。良い音楽には苦労して出会わなければいけないとの刷り込みがある。いつ刷り込まれたのだろう?

 僕の世代は、記憶にはないがオイルショックの頃に生まれた人を同世代と定義しよう。現在もオイルショックな状況なのでややこしいかもしれないが、一般的に言われる方のソレだ。そんな同世代の感覚では、小さい頃は音楽をレコードで聴いていた。それと、TVで歌番組が多く放送されていた。

 小さい頃は、あまり熱心に音楽を聴くことはなかった。歌番組に興味を持つようになったのは、サザンオールスターズが「バイ・バイ・マイ・ラブ」を出した辺りだと思う。美しいメロディと桑田佳祐のヘンな歌い方のギャップが印象的だった。ただ、それでサザンにハマるってわけでもなかった。

 視覚的な印象で、サザンの見た目が小学生にはただのオッサンにしか見えなかったのだ。だから、カッコいいバンドという印象にはならなかった。曲は好きだったので、カッコよさと音楽は別モノという意識が芽生えた。いや、いま考えればカッコよさもあったのだが、あくまで子供の視点の話だ。

 中学生になると音楽に詳しいヤツが増えてくる。僕の情報源はラテ欄のみなので、彼らが何故詳しいのか納得できなかった。多くは兄弟がいたり、雑誌で情報を得たりしていたようだ。それを知るまでは、詳しいヤツの言いなりだ。与えられるカセットテープをダビングするしかない。懐かしいぜ。

 ここで冒頭の問いに戻る。中学生で音楽の情報を得ようと思うと、なかなか自分の好みに行き着かない時期があった。自分でも雑誌を読んだり、深夜の音楽特番をチェックしたりして探すのだ。その苦労があってこその発見だ。サブスクを利用して以降でも、わざと遠回りして検索するクセがある。

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今は使われていない旧型のマシン。このマークのサブスクを利用している。