消えたブックマーク

 興味がないときは頻繁に目に入るのに、こちらが欲すると見つからないものがある。僕はブームに乗らないことを意識し過ぎているので、そのブームが過ぎてから後追いでハマッたりすると全然追えないことがある。あんなに街頭に溢れていたアレが、僕の手元にだけは支給されない疎外感である。

 まあ、そんなことは我から選んで進んだ道なので仕方ない。供給過多で値崩れしたタイミングを見計らってゲットするのが賢いやり方だと思うが、僕は本当に最初の段階での興味を遮断してしまうので、誰も見向きもしない枯れ野の状態で探している。それは、決してレアという意味ではないのだ。

 そんな非レアな(僕だけの)お宝は、やはり探しても見つからないので、頭の片隅の欲しいものリストに挙げておく。干し芋のリストではない。ただ、そのリストも干からびてしまう。常に書店には僕の欲しいお宝があるはずなのだが、とうとう見つけるべきサムシングを見失ってしまったようだ。

 以前は小説で数点、マンガで数点、常に見つからないものがあった。僕の中では取り寄せは反則(ローカルルール)なので、書店での偶然の出会いだけが買い物のチャンスだ。そして、うっすらとソレがある場所も分かっている。神保町を巡れば大体なんとかなる。そして、実際なんとかしてきた。

 そうやって反則気味の離れ技を駆使した挙げ句、永遠に続くと思われていた僕の書店ジャーニーは終わっていたようなのだ。最近、以前のように書店でときめかないのだ。無限在庫を前にして、どこから手をつけて良いか分からなかった頃が懐かしい。そろそろ新しい興味の啓示が欲しいところだ。

 以前は、ユーズド書店で安く買い漁った中から新たに興味が湧く作家を見つけていた。すべての書物を読み尽くせるわけもなく、僕が読んだ量などミクロ微粒子にも満たない。それでも読む原動力となる興味が動かなければ、読書は楽しめない。最近、近所のユーズド書店が閉店したことも大きい。

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幕張メッセ近くの某ホテルのビルを見ると、孤立無縁という言葉を思い出す。