はんぶん異世界の耳

 中年域に入って長い僕なので、そろそろ体の不具合などにも気を配らなければいけない。この国でこういう言い方をするのか詳しくは知らないが、海外の映画などでは、いわゆる「中年の危機」と呼ばれる時期に入っていると思う。そこに映る世界と自分の現実のギャップに、別の意味で落ち込む。

 中年の危機(ミドルエイジクライシス)は、男性に起こるメンタルヘルスの崩壊のようなイメージがある。勤務先で責任ある立場を任されて、プレッシャーのかかる日々に心が悲鳴を上げるのだろうか。複雑化する状況にキャパオーバーで壊れてしまうようだ。僕には縁がなさそうな危機だと思う。

 とは言え、最近さらに涙もろくなっているのは、そんな症状のように思える。別の言い方では「男の更年期」みたいな感じだろうか。ネットで調べたら、そんな症状はない。中年の危機と男性更年期障害はおそらく同質のものだと思うが、僕の涙もろさは涙腺パッキンの経年劣化に過ぎないようだ。

 小さい頃から気が弱いタイプだと思っていたのだが、なんとなく最近思うのは、意外と自分の心は強いらしいのだ。メンタルが強いというのではなく、あまり気に病まない、むしろ気に病めないと言った方が正しい。気落ちするような場面でも、その反動のように笑えるピースを探してしまうのだ。

 だから誤魔化しというか、視点を変化させて問題をナナメに見ることでダイレクトな落ち込みの波動を避けているとも言える。でも、これは考える前にしていることなので、僕にビルトインされた機能だ。どこで埋め込まれたのかと言うと、それは小学生の頃、僕がダジャレしか言わなかった頃だ。

 その頃の僕は、呼吸するようにダジャレを言うオッサンに憧れていた。その練習として、毎日100個はダジャレを言おうと試みていた。人の言葉を聞き間違えるとダジャレに繋げやすい。そのために、人の話をボンヤリ聞いて聞き間違えるトレーニングをしていた。その練習の成果で、今に至る。

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言われなければ分からないと思うが、これは吉良上野介の像だ。吉良は嫌い?