ケミカルウォッシュ・ブルー

 僕が学生時代に流行ったファッションは、現代では絶対にリバイバルしないと思っていた。特にケミカルウォッシュのジーパンなどは、どこに出しても恥ずかしい思い出である。当時の僕が着用していたソレは、確かに目も当てられないくらいダサい。でも、小さなリバイバルはあったように思う。

 中学生の頃は服装に気を使いつつ、どこか詰めが甘い。モテようと努力していると思われるのが何よりダサいと思い込んでいたので、努力が目につかない程度に服を選んでいた。その頃に身についたクセだと思われるが、今でも「普通」に見える服を選ぶことが多い。見た目でトガりたくないのだ。

 ただ、今は普通にモテたいし、服装に気を使ってオシャレだと言われたら嬉しいと思う。言われたことはないが。アラフィフの中年がモテたいなんて痛々しいと思う向きもあるかもしれないが、そんなの関係ない。これまで一切モテてきていないのだから、いつか来る「モテ期」に備えて何が悪い?

 話を元に戻そう。モテの話はどうでもいい。いや、イチバン大事なことだから別の機会があれば改めて記しておこう。僕は、流行のリバイバルが個人レベルで来ることが多い。ファッションに関することではない。例えば僕の中ではAORが、この数年ずっと気になっているし、調べて聴いている。

 学生時代はメタルしか聴いてなかったので、とても排他的だった。それは他ジャンルに対して発揮される。ヒットチャートものや当時の歌謡曲などを毛嫌いしてしまうのだ。その頃はバブル経済の余波があったので、流行がすべて成金的なまがい物に見えていたのだ。一部のメタルもそうなのだが。

 たぶんAORというのも、僕が毛嫌いしていたチャートものに含まれていたと思う。あの頃、避けていた分だけ今は新鮮だったりもする。あと、最近では本邦のシティポップなどと聴き比べて楽しんでいる。位相を変えればダサいのは僕だったわけで、こんなにカッコいい音楽を見逃していたのだ。