僕のアメリカ、ヘアメタル

 西暦1973年生まれの僕にとって、70年代のロックはすべて後追いだ。幼心に聴こえていたような気がするので、多少のノスタルジーは感じる。でも、それは小さい頃すでにナツメロ的な扱いだったような気がする。だから厳密なルーツというか、自分の始点となる洋楽体験は80年代からだ。

 洋楽を聴くようになったのは高校受験の頃あたりからだと思われる。当時はバンドブームの後期だったと思うが、洋楽にハマって以来、バンドブームの流れには乗れなくなった。洋楽と言っても、当時はLAメタルが流行っていた頃だ。化粧して派手な衣装で、ノリの良いロックを聴かせてくれた。

 ミッキー・ロークの主演映画「レスラー」の中で、主人公が「80年代の音楽は最高だったぜ」と語るシーンがある。そして「90年代はグランジが流行って最低だった」とも。僕はグランジを最低だとは思わないけれど、確かにLAメタルは「サイコー」と叫びたくなるような輝きに満ちていた。

 今朝のニュースでエディ・ヴァン・ヘイレンが亡くなったと知った。彼らのヴァン・ヘイレンというバンドが、西海岸にメタルブームを起こすキッカケでもあったと思う。みんながヴァン・ヘイレンに憧れてバンドをはじめたのだ。各バンドに必ずギターヒーローがいたのも彼らからの影響だろう。

 LAメタルはファッション面で注目されることも多く、スプレーで膨らませたロングヘアを揶揄して「ヘアメタル」などとも呼ばれたそうだ。そんな呼び名は記憶にないが、後付けの印象がネットに刻印されているようだ。なんとなくプロレス的で、バッドボーイロック芸のような部分も見られた。

 そんなムーブメントの中で生き残ったのは、モトリークルーとガンズ&ローゼズくらいだろう。どちらも大好きなバンドだが、僕の中のナンバーワンではない。モトリーよりもドッケンが好きだし、ガンズならLAガンズが好きなのだが、こんな話は誰にも通じないだろう。通じなくて全然大丈夫。

 

R.I.P.Edward Van Halen