ひと皮めくればメタルハート

 僕の遺伝子に組み込まれたヘヴィメタルが周期的に疼くので、いまは(僕の中だけで)メタルリバイバルが巻き起こっている。そんな時はプレイリストを作るのじゃ。その時々でブームの質が異なり、ブリティッシュ系ハードロックが気持ち良い時もあれば、特定のアーティストだけ聴く時もある。

 高校時代にヘヴィメタル専門誌に洗脳されているので、音楽はカテゴライズして聴くものだとの教えが染み付いている。雑誌で取材されているアーティスト自身は「カテゴライズなんて無意味だぜ」と語っているのだが、その取材者自信がメタル専門誌というカテゴライズからの使者だという矛盾。

 その分類によると、ブリティッシュ系の音は「湿り気を帯びた」と表現されて、アメリカの音は「カラッと乾いたカリフォルニアの空のような」などと例えられることが多い。それって単純に天候の違いなんじゃないかと思うが、確かに気分は天候で左右されるので、その違いはあるかもしれない。

 そして、いまの気分はカラッと乾いたアメリカンハードロックなのだ。雨の日が続いたので気分的にはブリティッシュ寄りなのだが、そっちの気分に落ちたくないので、音楽で気晴らししたいのだ。僕がイチバン熱心に音楽を聴いていた高校時代に摂取したのが、アメリカ発のヘアーメタルだった。

 このヘアーメタルという言い方は蔑称で、当時はLAメタルと呼ばれた。ヴァンヘイレンになりたい若者がLAに集まり、界隈のバンドシーンが熱くなった。そのムーブメントの総称をLAメタルと呼ぶ。彼らが一様に髪の毛をスプレーで固めていたので、それを指してヘアーメタルとも呼ばれる。

 そのムーブメントは、極論するとヴァンヘイレンのフォロワーなのだが、そこからいくつかの個性的なスターが生まれた。その中ではモトリークルーが最強だったと思われる。シーンの末期にはガンズ・アンド・ローゼズも現れるのだが、モトリークルーの成功がなければ後に続かなかったと思う。

写真で音楽を表現するのは難しいが、この写真は好きな曲名が記されている。