定休日の忘れな草

 よく行く酒場の定休日が隔週火曜日だった。店長から「第2・第4は休みだよ」と何度も言われた。でも、火曜日の回数で数えるのか、週の順番で数えるのかで迷うのだ。第2週目だけど第1火曜日の場合はどちらか、という厳密な確認をしてない。だから、10年以上通っても覚えられなかった。

 こんな感じで隔週をちゃんと把握してくれない客が多すぎるのか、それともコロナ禍の時短営業で疲れたのか、とにかくその酒場は毎週火曜日定休に切り替えた。どのみち火曜日は休みかもしれないと思って避けていたので、毎週になっても変わらないと思っていた。でも、いざ毎週になると困る。

 火曜日に飲むことは、あまりない。週末まで待てないと水曜日にフライング飲みすることは多いが、火曜日は我慢できる。でも、たまに我慢できない時がある。良いことがあった時も、嫌な気分の時も、とにかく酒場で飲みたくなる口実は多い。そんな日が火曜日だったら、店の前で途方に暮れる。

 かつて通っていたラーメン屋にひさしぶりに行ったら、しっかりとシャッターが閉まっていた。どうやら定休日ができたらしい。以前は定休日なんてなかったはずだから、これもコロナ禍を機にちゃんと休むことにしたのだろう。ただ、その店は僕の家からは近くないので、そこでも途方に暮れた。

 前にも記したが、僕は美容院の定休日を理解していない。自分が休みとは無関係な仕事だから、他人の休みに無関心なのだろうか。いや、土・日休みの仕事をしていた時も店の定休日には無関心だった。インドの誰かが「愛の対義語は無関心」なんて言っていたが、つまりは愛がないということか。

 自分のことしか考えられないというのは、人間としてランクが落ちる気がする。ロックの洗礼を受けたと自称する身としては、やはり愛に生きたい。これからは定休日を覚えよう。そして、僕も定休日を作ろう。でも、定休日に縛られたくないからフリーなんだろ。そこは自由というロックもある。

滅多に蕎麦屋に行かない僕だが、地元のいい蕎麦屋をひとつ押さえておきたい。