ディグマイホームタウン

 中学時代の友達が、僕らが住む埼玉の端っこの町のことを調べているという。土地のこと、町の成り立ちのこと、古い建造物や市内の旧家のことなどを掘りまくっている。そんなサークルを主催して、勉強会や講習会、取材や寄稿などで活躍している。興味の向く先が、僕とまったく異なっている。

 彼と出会ったのは、中学生になって間も無くのことだ。クラスの中でも突出して面白い人だったので、真っ先に声をかけたと思う。とにかく面白い人と仲良くなるのが、つまらない学校を楽しむコツだ。彼らのおかげで大半は退屈なだけの学校がゴキゲンになる。その彼に、時空を超えて再会した。

 同窓会で会って以来、何度か連絡を取っていたのだが、先月あたりから会うようになった。彼のアカデミックな活動は知っていたが、メールでフィールドワークなどに誘われるたびに都合がつかず断っていた。内心では、そのサークル活動に対して「面倒だな」という感覚がなかったわけではない。

 それでも、彼の実際の活動を取り上げる新聞記事や、ローカルなラジオに出演した際の話を聞いて心を解いた。ちょっと会ってみようと思って、とりあえず飲みに誘ってみた。でも、酒場で会ったことはない。もしかしたら飲酒が好きではないのかもしれない。僕的には酒場に引き込みたいのだが。

 そんな彼と昨日の昼過ぎに出かけた。オススメのかき氷があるというので、隣町のテイクアウト専門の店に連れて行かれた。その帰りに、彼の活動に付き合うことになる。実際にフィールドワークに同行したわけではないが、彼が今調べている場所を一緒に見てきた。クルマで通り過ぎるだけだが。

 僕が生まれ育った町の旧家や、珍しい地形などを説明されながらのドライブは、そこそこ楽しめた。ただ、そんな風に地元を走っているうちに、古い知り合いの話で共通点が出てきた。別れ際のことで、本当はもっと話したいと思ったところで出た話だった。また近いうちに会わなければいけない。

友達オススメのかき氷はあずきミルク。見えない氷の山の下にたっぷりあんこ。