終わったはずのレイニーブルー

 僕は家で仕事をしているので、飲みに行く時は夕方からバスに乗って最寄駅に行く。歩いていく時もあるが、夏場は汗だくになるのでバスで行く。10分程度の距離だが、わざわざ家から出るのが億劫に感じる時もある。誰に頼まれるでもなく、好きで飲みに行っているのに億劫というのも変だが。

 昨日は雨が降っていたので、酒場までバスで行こうと思っていた。傘をさしても濡れるくらいの土砂降りに、バスを待つ間に気分が落ちて込んできた。こんな思いしてまで酒場に向かうのは馬鹿らしいなと思ってしまい、バスが来る前に家に戻ってしまった。近所でビールを買い込んで家で飲んだ。

 酒場で飲むのが大好きな僕が、酒場に出ようとして諦めたことがあっただろうか。たぶん無かった気がする。それだけ昨日の雨は激しかったし、酒場への意欲も低かったのだろう。ひとつは、行きつけ酒場のひとつが臨時休業していることだ。しばらく休むらしい。最近流行りのアレの影響だろう。

 他にも行きたい店はあるのだが、拠点のように使っていた店がないと不安定である。大体僕は3つの酒場を順繰りに使っているのだが、他の2つの店が休んでいても拠点が開いていたら飲みに行く。店の中が想像できるという意味ではイチバン気安いのだ。酒場ではリラックスできることが大事だ。

 気分がブルーな日には、ちゃんとブルーな出来事が起こる。会いたくないと思っている人間には必ず会ってしまう。そんな悪運だけは強いのだ。これが博才の方に振れていたなら、僕は巨万の富をゲットしていただろう。僕があまりお金に興味を持たないタイプだから、その才能もないのだろうが。

 ちなみにバス停での僕がどのように心変わりしたかと言うと、それは「今から来るバスが乗客パンパンで乗車拒否されたらブチ切れるだろうな」という微妙にリアリティのある妄想をしていたからだ。こんな無意味かつ不愉快になるだけの妄想に囚われるくらいなら、家で飲んでいた方がマシだぜ。

雨が降っていたとしても我が家が盛場の近くならば歩いて飲みに行くのだろう。