期待する体力

 プロ野球の特定チームに肩入れして、応援しながら見ている。この球団を応援すると決めたのは子供の頃だが、今のように明確に、熱心に応援するようになったのは最近だ。陽気に楽しむ分には健康的だが、負けると落ち込むし、ネガティブな発言をしてしまう。そのあとは盛大な自己嫌悪に陥る。

 他人がやったことでこんなに一喜一憂することがあるだろうか。僕には子供がいないので、親の気持ちは想像しかできないが、親目線で子供を見る時は我が事のように感情を揺さぶられるかもしれない。伯父目線で、甥っ子・姪っ子の身に何かあったらと思うと、やはり普通の心境ではいられない。

 ただ、まあ家族のことなら熱くなるのも理解できる。問題はプロ野球のことで、こちらに関しては完全な滅私というよりは、片思いに近い執着である。先様はこちらのことなど知らないが、不特定多数の「ファン」として群衆に埋もれている。まあ別に、そこから見つけ出して欲しいとは思わない。

 むしろ、純粋な片思いだからこそ、ひたすらに熱量をかけられるのだろうか。片思いを両思いにしたいと思うからキツくなるが、応援する球団に愛されたいとは思わない。ただ、勝ってほしいだけだ。こちらの感情は愛情に近いが、向こうに返してほしいのは勝利なので、ちょっとすれ違っている。

 そんな推しの現状が、首位攻防という控えめに言っても最高な状況で終盤を迎えている。まだ追い上げる立場だが、とはいえ最終盤に来ても諦めきれない程度の差で追い詰めている。完全に順位が決まれば他の全球団の腹が決まるのだが、そこが決め切らないまま本格的な大詰めを迎えているのだ。

 ハッキリ言って、今年の序盤はいろんなことを諦めていた。優勝を狙うなんてちゃんちゃらおかしくて、去年よりも多少な勝率が上がればいいなと、本当に謙虚に思っていた。それが、ここに来てまだ優勝を争っているというのが嬉しい。こんな状況に持ってきてくれただけで、本当に泣きそうだ。

酒場で延々と野球談義をした挙句、こんなに暗い道をトボトボと歩いて帰る。