過去に遡り今に蘇らせる

 僕が45歳の時、中学校の同窓会に初めて参加した。40歳から5年ごとに開催しているという話だ。むかしは、いま会うことのない同級生よりも日頃の仲間の方が大事だと思って、同窓会には興味がなかった。でも思い返すと中学生時代は楽しかったので、会いたいヤツに会いに行こうと思った。

 結局、会いたいと思っていた友達は来てなかったのだが、そこで連絡先を交換した同級生から頻繁にメールが来るようになった。何やら町の歴史や変遷を調べているそうで、それらしいサークルを立ち上げて楽しんでいるらしい。当初は聞き流していたが、熱心に誘われるので一度会うことにした。

 彼は今でも同じ市内に住んでおり、彼の実家にある神輿を市の資料館に展示するので、移送の日に手伝ってくれとのことだ。普段からヒマしているので、そういう人足的な役割なら喜んで参加しよう。平日の昼過ぎに彼の家に行き、数人の男たちと共に神輿を軽トラに積み込んで資料館に向かった。

 その移送の道中で話していると、あまり年齢の経過を感じない。見た目はお互いに中年の後半というくたびれた感じだが、話すリズムはむかしと変わらない。特に懐かしい話をするでもなく、現在の話で普通に盛り上がった。こうなると飲みに行きたくなるが、飲みの誘いにはあまり乗って来ない。

 そして後日、その資料館で展示解説があるというので、まあ近所なので見に行った。古い建造物が国の重要文化財かなんかに指定されて、その説明を数人の学芸員が手分けして行っている。あまり興味があったわけではないが、聞いていると疑問や興味も湧いて、何度か質問する程度には楽しんだ。

 その場には同級生もいたのだが、解説する際に2組に班分けしたら別々になってしまった。僕的には「アイツに会いにきているだけなんだけどな」との思いがあったが、いい大人がイチャイチャするのもキモいので諦めた。そのおかげで集中して説明に耳を傾けられた。ただ、今はもう覚えてない。

神輿を運んだ日は暑くて汗だくになったが、今はもう秋の空で涼しくなった。