ワイドオープン、クローズ

 僕の友達付き合いは、はたから見たら「広く浅く」と評されるような感じだと思う。学生時代からそうだし、社会人になっても、酒場の付き合いでも変わらない。それほど人当たりの良いタイプだとは思わないのだが、身長が高いのでムダに目立つ。単純に視界に入って来ちゃうということだろう。

 そういう目立ち方をするから、ヤンキー的なノリの人から戦闘能力を確認するようなジャブが入ることがある。ストレートに「ケンカ強いの?」などと聞かれたこともあるし、後輩から謎に「僕とケンカして勝てると思いますか?」などと迫られる時もあった。その都度、弱さをアピールしてきた。

 そもそもケンカなんてしないし、社会人になってケンカすると酷く傷つくのを何度も目撃してきた。関係性がこじれるし、大ごとになると法的措置を取られたりもする。大人はケンカをかわさなければいけない。そんな場面に遭遇したらダッシュで逃げ出すのが正解だ。僕の優しさは弱さと同義だ。

 デカい割に弱気だから、コワモテだけれど近くに置いても大丈夫、という置き物的な扱われ方で仲間が多いのかもしれない。付き合いのある人とは上っ面の話はあまりしないので、関係性としてはそれぞれ浅くない。ただ、安易に本質の話ばかり聞くので、誰とでも上手く付き合えるわけではない。

 僕は特に隠しごとがないので、ペラペラと自分のことを語りきってしまう。それは、自分を晒していると言うよりも、「俺も話すからお前も教えろ」という圧に感じるかもしれない。自分のことを話すのには飽きているので、本当にサラッと伝えるだけだが、相手のことは深く聞こうとしてしまう。

 でも、僕は別にその場を盛り上げたいだけなのだ。だから全然その時に聞いた相手の本質を覚えていられない。引き出しておいて放置するのだ。せっかく窓を開けてくれたのに、外から見て「なんか汚ねえな」みたいな顔をして中に入らないのだ。そろそろ酒場の仲間から嫌われるかもしれないな。

自分のことを話すのは苦手だが、このゆるキャラたちが好きなことは確かだ。