ブロマイドを飾るように

 飲食店などの軒先に招き猫を飾って、お店の繁盛を願うような風習がある。縁起担ぎといったところか。そういうノリは世界中にあると思うが、僕は世界のことはTV画面の中でしか観ていないので詳しくはない。唯一行ったことのあるインドでは、商売繁盛の神様はガネーシャだった記憶がある。

 インドでは神様がたくさんいて、いろんな呼ばれ方をしているけれど、結局はメインの神様のいずれかの化身だったりする。起こった現象に対して対処療法的に神が現れるから、後付けのように誰々の化身となるように思える。変身ロボが玩具メーカーの都合でオプションを追加するようなものか。

 とにかく、インドの商店では神様のイラストを壁に貼ってあることが多い。額装したものもよく見る。土産物屋では絵葉書もたくさん手に入るので、旅行に行く予定がある人は自分の推し神を決めておくと楽しいだろう。僕はハヌマーンという猿ルックの神が気に入ったが、グッズは買わなかった。

 日本でも七福神というビッグネームのユニットがあるが、そこにもインド由来の神々が潜んでいる。改めて調べたらヒンドゥー以外にも、道教や仏教、神道などの流れを汲むメンバーだそうだ。出典はネット情報だ。こういう話は文献を当たってちゃんと読みたいが、老後の楽しみに取っておこう。

 インドで出会った女の子が、インド人は神様のことを「アイドルのように」思っているんじゃないかと言っていた。何人かのインド人商人がポケットから推し神のブロマイドを出して自慢してきたというので、彼らにとってはクールな存在なのではないかとの意見だ。なるほど、それなら面白いな。

 以前京都で見た千手観音がクールだなと思って調べたら、結局あの仏像もインド由来の神々と深い関係がある。詳しいことは知らないが、それを調べるのは老後と決めたので構わない。ただ、僕の中にもクール神はいるということだけは分かった。信心は皆無に近いが、愛でる気持ちはありそうだ。

木々の向こうに不気味なオブジェ。芸術と宗教の密接な関係とか言ってみる。