ヤングアンドアダルト

 昨夜、酒場の帰りにコンビニに寄ると、ドリンク売り場で少年のグループに囲まれるカタチになってしまった。剣呑というほどではないけれど、社会に多少の不満を抱えていそうな、むかしで言うところの不良少年だろう。カラまれるのかなと思って対応を考えていたら、朗らかに話しかけられた。

 酔っているらしく、不明瞭なところもあったのだが、どうやら「明日の朝、逮捕されるかもしれない」との話だった。何のことだかサッパリ分からなかったが、たぶん揶揄われたのだ。よもや若者と話が合わない、住んでいる世界の違う人間になってしまったようだ。敵と見做されないだけマシか。

 僕は酒場の常連と一緒に歩いて帰っていたのだが、その帰り道に必ずコンビニで缶チューハイを買って飲む。歩きながらツラツラと話すのだが、酔っていたので何を話したのかはまったく覚えていない。ただ口論とまではいかないけれど、多少の意見の食い違いで小さくモメたような気がするのだ。

 その人と話す時は、同い年ということもあるのか、いつも遠慮がない。基本的には丁寧な応対をお互いに心がけているのだが、本当のことしか言わないので、たまに殺伐としてしまう。もしかしたら、さきほどコンビニで会った若者の気分が伝染して、アツい感じになってしまったのかもしれない。

 最後の分かれ道となる交差点ではわだかまりは消えているのだが、いつも何かしらの対立する話題があるような気がする。それは、僕が会話術的に「反対意見」を意識してしまうからだろう。本当のことしか言わないのと同様に、人の意見を多角的に見るために完全肯定せずに聞くクセがあるのだ。

 ほとんどの人は自分が話したいか、他人から褒められたいのだ。それをご褒美として与えていれば、角の立たない安穏な日々を送れる。それで何ら問題はないし、僕だってそんなふうに扱われたら嬉しいかもしれない。いや、実は僕は嬉しくない。意見は合わない方が面白いと心底思っているのだ。

人間は孤独なものだと分かっていながら、他人との関係性を欲してしまうのだ。