月夜の罪と罰に吠える

 中学・高校生の頃、音楽の趣味に目覚めて、レンタル店でいろいろ借りるようになった。ガイドとなる雑誌を読んで探すのだが、都合よく聴きたいCDがなかったりする。「◯◯の名盤はコレだ」という記事を読んでも、それがないので別のを借りて聴く。あまりピンと来なくても、とにかく聴く。

 なけなしの小遣いの中から厳選した音源なので、なんとしても元を取りたいのだ。そのアーティストの良さが分かるまで何度も聴いていると、良さは分からなくても耳に馴染んでくる。そうやって気に入ったアルバムが、実はそのアーティストの中では駄作だったりする。そういうのは逆に嬉しい。

 僕はジャンケンが弱い。そういうのは、つまり運が弱いということだ。だから、CD選びでハズすのだろう。ハズしたことを気に病むくらいなら、好きになるまで聴いてやれという気分もある。でも、とにかく運で出会いを失するのは不愉快なので、あとでちゃんとその名盤は聴き直すことになる。

 音楽の趣味に関しては、どうしても過去に生きてしまう。初期衝動の時点で興味対象をコンプリートできていないので、サブスクで何でも聴けるといっても、最近の作品よりは聴き逃した過去作をディグってしまう。ただ、経年劣化による記憶喪失があるので、すぐに「アレなんだっけ?」となる。

 先日もここに記したが、いまはハードロックの季節である。世界的な流行ではなく、僕個人のバイオリズムの話だ。僕の青春をメタリックに彩ったサウンドの渦に飲まれたくて、当時ハマった音源をサブスクでさらっている。曖昧な記憶も関連するアーティストを表示してくれるので、補完される。

 ただ、サブスクも完全体ではない。あの頃の僕が買いそびれたアルバムを探すのだが、いつまで経ってもアップされない。どんな事情があるか知らないが、そうやって埋もれてしまう作品は多々ありそうだ。僕が聴きたいのはジェイク・E・リーのバンド「BADLANDS」のセカンドなのだが。

重機を見てときめく感覚は、そのヘヴィメタリックな質感からくるのだろう。