底なし沼をさらえ

 人に薦められて音楽のサブスク配信サービスを利用することにした。これを始めるとCDを買わなくなってしまいそうで敬遠していた。でも、僕がその人に薦めたアルバムをその場でダウンロードしたので「こりゃ便利だ」と実感した。無駄なこだわりや意地は利便性を拒否する理由にはならない。

 この手のサービスは、使い始めの3ヶ月無料というのが一般的だ。いわゆる「お試し期間」が設けられている。だから、いま偉そうにサブスクを利用しているなんて言っている現時点では利用料金は発生していない。でも、定額といっても月にCDを1枚買うより安く利用できるのでおトクなのだ。

 無限だと思っていた世界中の音楽の底が見えてきそうな予感がある。CDを聴いて集めるのではいつまでも埒が明かない。ただ、その底が見えない無限の海が魅力的だったとも言える。掘り返してしまったら面白みのない水たまりに感じてしまうのだろうか。まだ全然掘ってないので杞憂なのだが。

 手始めに、思いつく限りの音源をダウンロードしてみた。かつてカセットテープでだけ持っていたものや、近所のレンタル屋で貸し出していない「買うまでもないけれど聴きたい」と思っていた音源を片っ端から取り込んだ。一瞬で自分のリストに加わる。やはりこれは便利としか言いようがない。

 この感覚に飽きずに音楽を探す旅を続けていきたい。新しい音楽を発見する喜びは忘れたくはない。それが店頭から手元に変わっただけだ。やっとユビキタス社会の入り口に立ったというところだろうか。でも、僕はきっと今後もCDショップに行くだろう。それは僕の嗜好する音楽の都合による。

 特にマイナー志向というわけでもないのだが、サブスクにラインナップされていない曲もたくさんあると思うので、そういう「手に入りにくい」方から攻めたくなる僕の性質もある。好きなものから食べないタイプだ。でも、いずれ店頭で買うのが億劫になってサブスクオンリーになる予感もある。

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我が家のいたるところにある多肉植物。これは母親がハマった沼だ。