スウィートリトルジャーニー

 せっかくの連休なんだから旅行にでも行こうかなと思うのだが、そもそも仕事がヒマな時期は開店休業状態なので、いつだって旅立つことができる。ただ、なんとなく億劫なだけだ。勤めていた時は「せっかくの休み」というのを理由に無目的な旅行に出れた。今は理由探しで止まってしまうのだ。

 自粛生活からの気分転換という大義名分が誰にでもあるが、そこまでビシッと自粛していたわけじゃない。よくよく聞くと、一時期は本当に家に篭っていたという人もいる。そのせいで痩せたり性格が暗くなったりして、そんな人には気分転換が必要だろう。文字通りのレジャーを満喫して欲しい。

 別にこれは僕の逆張り性質ということでもないのだが、やはり大型連休の最中は道路などが混むので、あまり遠出したいと思わない。以前の勤め先が連休中でも仕事があり、休みは自分でズラして取っていたので、そのズラしたタイミングで「どうせなら」と、ちょっとだけ無理して旅行していた。

 生きている限り、インプットというのは必要である。普通に生きていても想像力が逞しければ、その日に起きた出来事を特別なストーリーに仕立て上げることができる。でも僕はごく普通の人間に過ぎない上、ウソが大嫌いという面倒な属性乗っかっている。だから、普通の日は普通に普通なのだ。

 その属性を補完するのが旅行なのだ。どんなに平凡な人間でも、無計画に遠出をすれば、トラブルに見舞われるに決まっている。もらい事故欲しさに彷徨っているのだ。そして、こちらの予想通りか、それよりちょっと面倒な程度のトラブルは当たり前に転がっている。巻き込まれようじゃないか。

 トラブルと記すと、本当にアレな世界の怖い人が登場して面倒に巻き込まれそうな気がするけれど、実際はもっとポップな話しだ。そこまでディープなトラブルに巻き込まれるには、国内旅行者では役不足なのだ。全然怖くない程度の、でも地元民的にはタルいのぉ的な面倒には秒で巻き込まれる。

こういう細い道で向こうから怖いルックの人が来たら、迷わず引き返そう。