白く輝かざるものたち

 現在の歯医者通いは、もうすぐ1年になる。長い。虫歯がたくさんあって時間がかかっているのなら、その分治った歯もあるってことだから、少しは救われるだろう。でも、この期間に治療しているのは2本の歯だけだ。これが一向に治らないのだが、やっとそのうちの1本の治療が終わりそうだ。

 歯の治療の最後はカブセものの相談になるのだが、僕は保険内で済む銀歯で構わないと言ってしまう。歯の白さにこだわりはない。ただ、力強く噛めて長持ちすれば良い。なるべく長いあいだ食事を楽しむために、僕が歯に求める機能のは頑強さだ。でも、歯科医はまた別の提案を持ちかけてきた。

 銀歯よりも体に優しく、セラミックよりは素材的に弱いが、保険が利く白い素材があるということだ。奥歯なので力がかかると割れてしまう可能性があるが、それが使えるのなら試した方が良いとのことだ。そんなものがあるのなら僕の全銀歯を交換してもらいたいのだが、そう上手くはいかない。

 強度の問題で、全部を換えたら耐久性がもたないのだろう。聞いたわけではないが、仮に聞いたとしたら、またあと1年くらい歯医者通いが続きそうだ。いや、待てよ。現在治療中のもう1本の方は、まだ全然治療が進んでいないのだ。こいつの目処がつかないと銀歯がどーとか言っていられない。

 甥っ子はあまり歯磨きをしないタイプに見えるのだが、虫歯は1本もないそうだ。どういう奇跡なのかは知らないが、幼児期にミュータンス菌が口に入らなければ虫歯にならない歯になるような話を聞いた気がする。僕は小さい頃から歯医者通いが多く、それでも歯磨きが嫌いでサボりがちだった。

 大学時代、ラグビーの試合中に前歯が欠けてしまった。合宿中だったので、その間は歯っかけ状態で過ごした。結局半年くらい放置してしまったのだが、仲間に「いい加減面白くない」と言われたので仮歯を入れた。確か仮歯と言われた気がするが、その仮歯は今も僕の前歯に黄色く居座っている。

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食べるために歯の治療を続けているのだが、治療のせいで食事が楽しめない。