ホワイトルームフェチ

 酒場からの帰り道、最近の僕はゆっくり歩いている。約30分ほどの道のりで、途中で必ず尿意がくる。そんな時によく使う公園の公衆トイレは、いつも個室に誰かが入っている。その公園は遊具などはないのだが、地域の避難所として広い敷地と東家がある。夜はベンチを若いカップルが占める。

 そんなカップル連中の片方がトイレを利用しているとしたら、必ず相方が外で待機しているものだ。暗いベンチで1人待つよりは、街灯の灯りが差すトイレ前の方が安全な気がする。つまり、いつも男子トイレの個室を使っている誰かは単独行動の人間なのだ。そのトイレが高頻度で使用中である。

 僕は潔癖症のカケラもないので、どこでもトイレを使うことができる。何も気にしない。むしろ有り難く使わせていただいている。公衆トイレは街のオアシスだ。いつ何時、地獄のような便意に襲われるか分からないので、常にそんなオアシスを探しては記憶している。その公園も、そのひとつだ。

 先ほど潔癖症ではないと宣言したものの、公園や駅のトイレは高確率で汚い。流し忘れや詰まりは日常的で、当然そういう個室は使わないのだが、なぜそこまで汚すのかと不思議になるくらい汚れている時がある。後を濁しまくりの発つ鳥に何があったのだろう。たぶん、先を急いでいたのだろう。

 汚れていることが多いと記した後では矛盾する話だが、僕が公衆トイレを使おうとすると、大体「清掃中」のフダが立っている。特に高速道路で多いのだが、高速道路のトイレは常時掃除しているのではないだろうか。どの時間に行っても、どの路線でも、いつでも清掃中だ。そして、オバさんだ。

 僕が公衆トイレを使うときは非常事態である場合が多いので、どうしても個室を使うことになる。個室にこもるので、外で作業しているオバさんの存在が気になる。申し訳ない気持ちになる。僕の使用後の生々しい便器を洗わせるのかと思うと、自分で洗おうかとさえ、いや、そこまでは思わない。

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歩いて帰るときの最後の信号は深夜だけ押しボタン式だが、あまり押さない。