じっとり濃厚バイブス

 仕事の関係で長い付き合いの人とは、自分でも気付いてない繋がりが生まれているのかもしれない。僕の直接のお客さんは、その多くが同業者の中ではアンタッチャブルな存在のうるさ型だったりする。実際は心優しいオヤッサン社長なのだけど、業務上の効率で扱いにくくなっているフシはある。

 僕が特に仕事ができて、それらの人と今でも繋がっているわけではない。それは、断じてない。むしろ無茶振りに近いカタチで、水が低い方に流れ落ちるのと同様に、その仕事は僕の手前にストンッと置かれた。その時に後ろを振り向いたら僕しかいなかった。でも、それはある種の幸運でもある。

 どんな仕事でも、それは誰にでもできるに決まっている。多少の経験が必要だとしても、その業務を遂行するのに必要な能力は誰にでも備わっている。ただ、その仕事の主従関係の中で相性があるだけだ。そこが上手くいかなくて、全然前に進まないことがある。それは、能力の問題ではないのだ。

 誰にでも合わせられる人がいたとしても、締め切りに間に合わせるためには強引なところが必要になる。そんな時に、先方との窓口と実務を兼務する人間が重宝される。僕が前職を辞めても仕事を細々と続けられるのは、この辺の都合による。お客さんを人質にして仕事を振ってもらっているのだ。

 そんな便利屋業が年イチで多忙を極める。何故かこの花粉症の出鼻で諸々の締切が重なるのだ。このたまに来る繁忙期が年間通して分散してくれれば、もっとギャラを小分けにして請求できるのだ。でも、一時期にまとまってしまうので少しだけディスカウントする。不要な気遣いで自滅している。

 とにかく、いまは珍しく忙しい。その要因である仕事のひとつが、ついさっき終了した。長い付き合いなので、タイミングさえ外さなければ早く済ませられるのだ。現在のリモートワーク的状況が、お客さんとの密な連絡を可能にしたような気がする。今年はかつてないスピードで仕事が終わった。

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仕事が忙しくても酒場には顔を出すし、そこで仕事もする。そして飯も食う。